浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ミュンシュORTFによる「中央亜細亜の草原にて」

2007年09月07日 | 指揮者
原稿締め切りには間に合わず、どんどんと遠ざかって行く締切日が気にならない時間は寝てゐる間だけだった。やうやくペンを執り机に向かって考え事をしてゐると締切日のことが気にならなくなってくる。つまり、睡魔が麻酔のやうに襲ってきて、いつの間にか寝てゐるのだ。原因は35年間吸い続けた煙草を止めたことによる体調不良である。このやうな苦悩の1週間を終え、無事、原稿を提出することができたのだった。今日は、ゆったりとした気分でミュンシュを聴くことができる。

時間のできたときはLPを選んで聴く習性が僕にはあるやうで、原稿書きの重圧から解放された清清しい気分でコンサートホール盤を手に取った。ここでは、ミュンシュが露西亜五人組の作品を3つ取り上げてゐる。15年間監督の地位にあったボストン響を離れたミュンシュは、晩年、世界各国のオーケストラと協演し数多くのレコヲドを残してくれた。これもその内の一つである。

僕にとって、この作品のレコヲドはアルバート・コーツとピエルネ指揮コンセール・コロンヌのSP盤以来のレコヲドで、CDでは1枚も持ってゐないことに気付いた。つまり、僕にとって3枚目のレコヲドが、今年手に入れたミュンシュのLP盤といふことになり、自分でも驚いてゐる。

そういふ訳で、僕の脳裏に焼きついた演奏はどうもコーツのもののやうで、それ以外はあまり知らないといふことのやうだ。コーツの演奏は以前に取り上げたことがあったが、露西亜の兵隊が高速ジープで目の前を通過して行くやうな、非常に速いテンポ運びであったが、ミュンシュの場合は駱駝の隊列でのどかだ。各楽器の音色も美しく響かせ、ミュンシュの色彩感覚の素晴らしさを楽しめる。しかし、トロンボーンのffは少々お下品な屁のやうな音色なのが残念である。

盤は、国内Concert Hall SocietyのLP盤 SMS-2511。


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