浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

シャルル・ミュンシュによる「タイボルトの死」

2007年08月29日 | 指揮者
ミュンシュのプロコフィエフと言へばハイフェッツとの協奏曲第2番の記憶が鮮明に残ってゐるが、ロメオとジュリエットの組曲でも素晴らしい名演を残してゐた。

ロジェストヴェンスキーが来日した際に、アンコールにこの曲を演奏したのが「タイボルトの死」との出会いだった。エアチェックが済むと早速、何度も繰り返し聴いて、その日のうちに完全に覚えてしまった曲だ。それ以来、ミュンシュのこの演奏は聴く機会もなく、存在も知らぬまま年月が過ぎた。それが、今回、海外から取り寄せたレコヲドの中にこれが含まれてゐたのだ。

露西亜のオケのやうな爆発的な馬力はないが、前に突き進むエネルギーは大変なもので、聴きなれぬトラムペットの動きも興味深いが、なによりも、この大編成の楽器群の扱いとバランスの良さ、それとテンポ運びの素晴らしさは何ものにも代え難い。録音は1957年2月となってゐる。この作品が世に出て、未だそれほど時間が経ってゐないこの時期に、これほどの名演奏が残されてゐたとは本当に驚きである。

これ以上の演奏は不要だが、あと一つ欲を言へば、ミュンシュのこの作品のライブ録音があれば是非聴いてみたいものだ。

盤は、EU製IMG ArtisteによるCD LC6646。


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