浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

フルトヴェングラー1953年9月4日のベートーヴェン第4交響曲

2009年03月28日 | 指揮者
ベートーヴェンの第4交響曲を聴くのは久しぶりだ。ベートーヴェンやシューベルトの作品を維納フィルハーモニーの演奏で聴くのは此の世で一番の贅沢ではないかと思ふ。

つい最近まで近代の音楽を好んで演奏しやうとしてこなかった管絃團、維納フィルハーモニーだけあって、古典的な作品で聴かせてくれる品格のやうなものは世界の宝だと僕は勝手に思ってゐる。フルトヴェングラーの戦時中の名演は伯林フィルハーモニーとのものが多く、若い時分は維納フィルとの演奏よりも伯林フィルとの激しい感情の高ぶりに心動かされることが多かった。しかし、あれから数十年を経て、維納フィルハーモニーとの演奏にフルトヴェングラーの素晴らしさをより強く感じることが増えてきたやうに思ふ。

僕がこの演奏を初めて聴いたのはRVCから発売されたLPレコヲドで、その盤は今でも大切に保管してゐる。このRCLシリーズでは未発表レコヲドを一挙にリリースしてファンを驚かせた。丁度僕が仕事の関係でLP盤の蒐集を中止せざるを得なくなる時期だった。購入はしたがそれほど真剣に聴くこともなくお蔵入りになった盤だった。このシリーズで最も有名なのはハンブルグでのブラームスの第1交響曲だが、このベートーヴェンもなかなかの名演奏だ。

かねがね言ってゐるやうに、同曲異演を何十種類も蒐集するのは、この演奏會にチケットを持って聴きに行ったつもりになって聴いてゐるためで、コレクター気分になったことは一度も無い。それが証拠に、前に聴いた演奏のことをすっかり忘れて同じ演奏をいくつも重ねて購入するのだ。そして、アルチュウハイマーのおかげでいつも新鮮な感覚で初めて聴く喜びを手にすることができるやうになったのだ。

盤は、国内RVCのLPレコヲド RCL3333。


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