浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

プシホダ ドヴォルザークの協奏曲 1956年プラハの春音楽祭ライブ

2008年01月18日 | 提琴弾き
ドヴォルザークの提琴協奏曲は意外と名演奏の多い作品だが、今日はチェコが生んだ世紀の提琴家、プシホダのライブ録音で聴いてゐる。

プシホダは19歳の1919年12月31日、大晦日に選ばれた聴衆の前で演奏会を開いた。そのとき、居合わせた指揮者、トスカニーニは、この若き提琴家に次のやうな短い評価を贈った。「パガニーニでもこの若き提琴弾きよりもうまくは弾けなかった」

伊太利亜での成功をかわぎりに、英國や米國、独逸などで活躍したが、祖国を離れての演奏活動が続いた。帰国したのは1956年のプラハの春音楽祭であり、今日聴いてゐる演奏が、5月30日に行われた記念すべき復帰コンサートのライブのやうである。解説を読むまではそんなこととも知らずに聴いてゐたが、そうと知ってますます有難味が増したやうな気がする。

伴奏は、当時、プラハ國立歌劇場のカペルマイスターだったヤロスラヴ・クロムホルク指揮するプラハ放送響である。これが、なかなか重厚な響きを持った良い伴奏である。独逸文化圏内の放送局に所属する管絃團は、だいたいどこのオケでも水準が高く驚かされる。クロムホルクといふ指揮者も日本ではあまり聞かない人だが、チェコの民族色を強く打ち出した歌劇などを発信し続けた人で、歌劇界では世界中からお呼びがかかる実力者として知られた指揮者だそうだ。

プシホダのダイナミックで個性的な表現の振幅に十分に対抗できるオケ伴奏である。会場はチェコの民族音楽を堪能した聴衆の大喝采である。

盤は、チェコスロヴァキアMulti SonicによるCD 310039-2。


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