浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

カペー弦楽四重奏團 死と乙女

2006年09月01日 | 提琴弾き
若かりし頃は、カペーよりもレナーだった僕は、歳を重ね、やうやくカペーの素晴らしさに耳を傾けるやうになった。先ほども、カペーの「死と乙女」を聴いていたが、第2楽章の終わり頃に差し掛かったところで急に息苦しくなり、病院に運ばれた。診断の結果は、なんと過呼吸。半信半疑ながらほっとしている。生まれて初めての過呼吸体験だが、こんなに苦しいものとは知らなかった。

僕は、人前では堂々としているが、実は小心者なのだ。先週急死した同僚のことが頭の片隅にあったのか、心臓と脳血管のことばかりが気になって、一時は死ぬかと思ったほどだった。精神安定剤をいただいて、帰ってくれば、今までどおり普通にしている。

第3楽章から聴き直しだ。ノンヴィヴラートの古い演奏スタイルはこの曲の第2楽章では、かへって斬新な演奏スタイルに聴こえはしないだろうか。そんなことを考へながら、夏の終わりの一夜を妻と過ごしている。

いつも妻が言っている言葉がある。「こんなにレコヲドを集めて死んだらどうするの?」さっき、死ぬかと思った数分の間に僕はその言葉を思い出していた。不覚にも妻の言ふとおりだと本気で一瞬だけ思った。この感覚は、阪神淡路大震災のときに感じたものと同じだった。なにはともあれ、無事だったので、この感覚は次にいつ味わうのかは知らないが、遠い先であることを願いつつ、蒐集を続けようと思っている。

盤は、英國Biddulph社のSP復刻CD LAB133/4。





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