たかしの啄木歌碑礼賛(続)

啄木歌碑およびぶらぶら旅

啄木歌碑めぐり(43)

2018年06月19日 | 啄木歌碑

 (43)合浦公園の歌碑(青森市合浦)               昭和31年5月建立(『一握の砂』より) 

 


                                 啄木 

                       船に酔ひてやさしく奈れる 

                       いもうとの眼見ゆ 

                       津軽の海を思へば 

   

 

明治40年5月5日、啄木は母、妻を残し、妹光子を伴い船で青森から函館に渡りました。この歌は、その時の様子を詠んでいます。函館は、平成28年3月に青森と函館を結ぶ北海道新幹線が開業し、大分近く感じます。東北新幹線は東京・盛岡間で運行していましたが、平成14年12月に八戸市まで、平成22年12月に青森市に乗り入れています。


 

啄木日誌

明治40年5月5日                                                                   五時前目をさましぬ。船はすでに青森をあとにして湾口に進みつつあり。海峡に進み入れば、波立ち騒ぎて船客多く酔ひつ。光子もいたく青ざめて幾度となく嘔吐を催しぬ。初めて遠き旅に出でしなれば、その心、母をや慕ふらむと、予はいといとしきを覚えつ。清心丹を飲ませなどす。山は動かざれども、海は常に動けり。動かざるは眠の如く、死の如し。しかも海は動けり、常に動けり。これ不断の覚醒なり。不朽の自由なり。