たかしの啄木歌碑礼賛(続)

啄木歌碑およびぶらぶら旅

陸中八十八カ所霊場参詣順路(1)

2015年12月11日 | ぶらりぶらり
陸中八十八カ所は岩手県花巻市・北上市・紫波町・矢巾町・盛岡市の5市町にまたがっており、番号順にまわると行ったり来たりとなるので、道なりに進むように、その参拝順をまとめます。ここでは1番の大興寺から88番の光勝寺までの間の道のりになります。
明治時代、四国まで行くのは大変だったので、明治24年、大興寺(第1番)の30代桐野圓宗、自性院(第77番)の48代斎藤光海、光勝寺(第88番)の26世赤塚宥天らが、「陸中新四国八十八カ所霊場」として、四国八十八霊場の「ご本尊」、「御詠歌」を同じにし、陸中地区の88カ所のお寺を四国八十八霊場にみたてて、つくったものです。

1.大興寺(1番) 本尊 釈迦  葛岡(現 岩手県花巻市石鳥谷町大興寺23-1)

大興寺は県道13号線(盛岡和賀線)から500mほど入ったところで、この道の一番奥になります。県道13号線からの入り口は案内板が立っていますので、すぐわかります。



大興寺本堂



御詠歌碑


御詠歌
霊山の 釈迦のみまえに めぐりきて 萬の罪も きへうけにけり



2.観覚院(62番) 本尊観音  長谷堂(現 花巻市石鳥谷長谷堂1-68)

長谷寺のことで、明治に入り廃寺となったが、釜石の寿福寺の寺籍を移転して再興されたようです。ここは、大興寺から下って(戻って)くると左側に案内板が立ってます、そこを進んで行くと観覚院に着きます。いまにも熊が出そうなところです。





御詠歌
五月雨のあとにいでたる玉の井はしらつゆなるや一の宮川


3.地蔵堂(5番)  本尊 地蔵  松林寺(現 花巻市石鳥谷町松林寺1-36)

観覚院から先ほどの案内版のところまで戻り、さらに下ると地蔵堂に着きます。
松林寺は、で第55代文徳天皇の后、染殿が清和天皇を懐妊した際、地蔵菩薩の功徳により安産を得たことより、国内66州に各一体の子安地蔵尊を安置した一ヶ寺といわれ851年の創建で、安産、子育てに御利益があるとして広く信仰されるようになりました。境内が東西約910m南北約546mの広さがあったようですが、野火により堂宇のすべてを消失し、その後、建替えられたようですが、現在は地蔵堂のみになっております。寺院名が現在も地名として残っており、重要なお寺だったのでしょう。



御詠歌
六道の能化の地蔵大菩薩みちびきたまへこの世後の世 


4. 俵屋堂(33番) 本尊薬師 大興寺(現 花巻市石鳥谷町大興寺4-34)

俵屋堂は花巻市大興寺の熊谷さん宅の敷地内にあります。私が訪ねた時は住所が分からなかったので探すのが大変でした。







御詠歌
旅の道うへしも今はかうふくじ後の楽しみありあけの月



5.光林寺(19番) 本尊地蔵 中寺林村 (現 花巻市石鳥谷町中寺林12-54)

石鳥谷バイパスの中林寺の信号を曲がって進んで行くと光林寺があります。この場所は中世の館「寺林城跡」のようです。




御詠歌
いつきてか西の住居の我が立へ弘誓(ぐせい)の舟に乗りてわたらん



6. 熊野堂(68番) 本尊 弥陀 八幡(現 花巻市石鳥谷町八幡12-21ー1) 

資料には住所がないので、場所がなかなか分からず、探すのが大変でした。大澤さん宅の裏にありました。




御詠歌
笛のねも松吹く風も琴ひくも唄ふも舞ふも法の聲聲



7.鳥谷寺(7番) 本尊 弥陀 石鳥谷(現 岩手県花巻市石鳥谷町好地第8地割85-1)

鳥谷寺(ちょうこくじ)は石鳥谷駅から10分ほどのところの街中にあります。当寺は1695年好地院と称して開山し、明治15年に鳥谷寺と改名しているようです。



御詠歌
人間の八苦を早く離れなばいたらんかたは九ぼん十楽



8.熊野堂(2番) 本尊 弥陀 上好地(現 岩手県花巻市石鳥谷町好地12地割142)

好地地区にある熊野神社で、本宮熊野神社といわれている。熊野神社は熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の祭神を勧請された神社のことで、熊野詣の盛行や熊野先達の活動により全国に熊野信仰がひろまり、全国に熊野三山の祭神を勧請した神社が300ほどあり、花巻だけでもその数は10ほどあります。



熊野神社

御詠歌
極楽の弥陀の浄土へゆきたくば南無阿彌蛇仏口くせにせよ
 


次回は、北上し紫波町に行きます。



御詠歌(ごえいか)は、仏教の教えを五・七・五・七・七の三十一文字の和歌で作られ、曲に乗せて唱えるもので、平安時代より伝わる宗教的伝統芸能の一つです。この他、七五調の歌詞にメロディをつけた「和讃」(わさん)と、広い意味では両者を併せて『御詠歌』として扱っている。巡礼の行われている霊場にはかならずといってよいほど御詠歌が付随しています。 作者は不明のようですが、御詠歌に親しむことによって、様々な仏の教えを知ることができるでしょう。



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啄木の歌

靴のあとみなことごとく大空をうつすと勇み泥濘(ぬかるみ)を行く

明星 明治41年7月号 石破集(32首、その6)

署名 石川啄木
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岩手山 (2015.12.9)