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コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗」〜ピュシスとロゴス、風と谷のナウシカ〜

2020-08-15 14:47:46 | 映画、TV、ミュージカル、エンタ
おととい8/13、NHK BSでコロナ新時代への提言2を見た。今のコロナ禍の中、いろいろ興味深い話があったので紹介する。8/1のものの再放送のようだ。
「コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗」 - BS1スペシャル - NHK
「コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗」
気鋭の識者がコロナ時代を生き抜く指針を語る好評シリーズ第2弾。生物学者・福岡伸一、歴史学者・藤原辰史、美学者・伊藤亜紗が人類や世界が向かうべき道を語り尽くす。
宮崎駿による漫画版『風の谷のナウシカ』。マスク姿の人々や猛毒をまき散らす腐海の描写は、コロナ危機に直面する現在の人類と符合する。生物学者・福岡伸一、歴史学者・藤原辰史、美学者・伊藤亜紗が、壮大な漫画版『ナウシカ』で描かれた数々の謎をひもときながら、コロナ後の世界や人類の行方について語る。文明化と自然の関係。潔癖主義や共生がもたらした悲劇。そして、負の歴史を繰り返さないために人類が取るべき選択とは?

コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗 BS1【BS1スペシャル】|JCCテレビすべて
2020/08/13 BS1 【BS1スペシャル】
コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗
私たちの世界を一変させた、新型コロナウイルス。
人類はこれからどう生きるべきか生物学・福岡伸一(青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員研究者)、歴史学・藤原辰史(京都大学准教授)、美学・伊藤亜紗(東京工業大学准教授)の3人の識者が語り尽くす。
今回は漫画版「風の谷のナウシカ」を通じ、コロナ後の人類を、未来を考えた。
いまの私たちと同じように、マスクなしでは生きづらい世界。
ナウシカの生き様と呼応する3人の識者の声に耳を澄ます。
米国・ニューヨーク、ドイツ皇帝・ヴィルヘルム2世、フランス・マクロン大統領、農学者・ナチス党員・コンラートマイヤー、ナチス研究家・H.P.プロイエルの映像。
ピュシス(ギリシャ語で自然)、ロゴス(ギリシャ語で言葉・論理)、ペスト、コレラ、スペイン風、SARS、MERSに言及。
安倍首相、トランプ大統領、作家・方方(武漢在住)、ナチスドイツ・アドルフヒトラー総統のコメント。

さて内容は以下のサイトに非常に詳しく述べられています。
まずは、福岡氏は、今のコロナ禍のなかで、疫病を主題にした「風の谷のナウシカ」をとりあげます。映画版ではハッピーエンドであるが、漫画版では、最後に理想郷のようなところに到達したナウシカがそれを破壊してしまうという結末に注目する。
また、彼のいつもの主張であるピュシス(ギリシャ語で自然)、ロゴス(ギリシャ語で言葉・論理)ということばをとりあげて、いろいろ考察する。ちなみに、風と谷のナウシカは、私は宮崎駿作品の中で一番好きである。オウムという虫も興味深い。
私の現在の仕事は、CAEといってコンピュータシミュレーションで、いろいろな物理現象を数値計算して、解を見つけるような仕事がメインで、この仕事に関わるエンジニアは、このようなコンピュータの計算で、いろいろな現象が解明されたり、推定されることと信じているし、これらが、さらに進んで将来はAIによる解析などが人間に勝ると思っている。しかし私はこのことに疑問を抱いているカズクスないエンジニアかもしれない。そのような私には、福岡先生のこのような問題提起は非常に興味がある。
思泳雑記
◈『コロナ新時代への提言2』が提起したこと
           ー福岡伸一の発言を中心としてー(2-1)
 それでは、福岡伸一が中心になりますが、3人の言葉をできるだけ拾いながら、この《提言2》が提起していることを言語化してみたいと思います。
◉コロナ問題が問いかけるもの
 福岡伸一の問いかけから、番組は始まります。
 冒頭、福岡は、現下のコロナ問題が我々に問いかけたのは、「生命とは何か」「自然とはいったい何か」であるとしたうえで、「共生」というものは理想的なものとして語られることが多いけれど、矛盾だらけのものだ(その意味はだんだんと明確になっていくはずですが)と指摘します。

そして、前項で言及した映画版と漫画版の違いにふれたうえで、漫画版の最後のところ(第7巻)、ナウシカは失われたはずの墓所(赤坂の『ナウシカ考』を書評した福岡は「人類再生のために密かに準備されていた約束の場所」と表現しています)を発見したにもかかわず、その約束の神殿を破壊して去ってしまうことは大きな謎として読む人の心に深く突きささると語ります。

ナウシカが破壊したもの、繰り返すことになりますが、宮崎自身の「予定調和なユートピア」、赤坂の「旧人類のプログラミングした未来へのシナリオ」、福岡の「人類再生のために密かに準備されていた約束の場所」とは何か、現代もそうであるように「人間が科学・技術を手段として行き着いた先にある人類文明の究極の世界」というイメージであると、私は言葉にしておきたいと思います。

◉ピュシス(自然)とロゴス(言葉)というキーワード
          ーその間にある存在としての人間ー
 ナウシカの物語の大きな謎を読み解くキーワードとして、福岡は、ピュシス(自然)とロゴス(言葉)、ピュシス対ロゴスだと強調しています。「対」だということに注意しておきましょう。そして、これが私たちの文明社会のなかの人間、人類をとらえ直すうえで重要な言葉であるといいます

また、もう一人の登場人物である伊藤亜紗さんの以下の意見も興味深い。特に全盲の女性の意見は心に刺さる。
そして、最後の方で福岡先生が指摘した三密対策の危険性〜ピュシスが制限される〜というのは、同感です。直感的に、三密をさけるというのは、新しいwith coronaの基本であってはいけないような気がしています。
◉「利他性」の本質ー伊藤亜紗の発言ー
 コロナ問題で浮かび上がる排除、差別というものをやめ、共生の道を歩むことができるかという問いに対し、伊藤亜紗は、「利他性」の重要性を指摘しつつも、一見いい感じの行動だけれどそれほど利他的になっていないというところからこの問題を考えることがヒントになるとします。

伊藤は、前段のそれほど利他的になっていない事例として、全盲になってから10年くらいの女性から聞いた話を紹介しています。その女性は、伊藤に、毎日がはとバスツアーに乗っている感じだと普段の生活を表現し、自分で時間がかかっても周りを直接感覚したいし、認識したいけれど、介助者のよかれと思う言葉や行為(もちろんありがたいことでもあるが)によって自分の自由な感覚が窮屈になってしまうことも多いと話したのだそうです。これは障害者という役割を演じさせられるということであり、困っているときに助けるという「利他」が、むしろ本人のためになっていないのであり、「利他」の本質というものは、むしろ待つことや自分の中にスペースをつくること、相手をコントロールしないことにあるのではないかと、伊藤は強調します。
 そして、ボードに「足し算の時間/引き算の時間」と書き、今の私たちは「引き算の時間」、つまり決まった予定の時間から逆算してせわしく暮らしているのではないかと問いを発します。

この伊藤の発言を受けて、福岡は、現在のステイホーム、三密の回避という直接の身体性への制約とはロゴスでピュシスが制限されることであり、生命にとって危険なことだと考えるがどうかと、伊藤に問います。

ウイルスの利他性には二つあると、福岡は説明しています。一つは宿主の遺伝子情報を水平に広げる働きで、ふつうの生命は親から子、子から孫へと垂直にしか情報は伝達しないけれど、ウイルスは種Aから種Bへ宿主を乗り換えるとき、遺伝子もちぎれてAからBに引き渡すことにより、情報を水平に広げているとします。二つは宿主の免疫システムに何らかの刺激を与えて調整する働きで、例えば腸内細菌でも小腸や大腸で宿主の栄養をかすめとるだけでなく宿主の免疫を調整しているというのです


私のブログを見て興味のある方は以下のDailymotionでまだ、みれるかもしれない。
コロナ新時代への提言~変貌する人間・社会・倫理~ - 動画 Dailymotion
他にも、いくつかこの番組を取り上げているサイトを見つけたので紹介しておきます。
風の谷のナウシカ - Wikipedia
『風の谷のナウシカ』(かぜのたにのナウシカ)は、宮崎駿による日本の漫画作品。アニメーション監督・演出家でもある宮崎が、徳間書店のアニメ情報誌『アニメージュ』誌上にて発表したSF・ファンタジー作品。戦争による科学文明の崩壊後、異形の生態系に覆われた終末世界を舞台に、人と自然の歩むべき道を求める少女ナウシカの姿を年代記の形で描く。


エッセイ ああ毎日書くのは大変だなぁ|ノリスケの語り|note
今日見たNHKのコロナ特集も非常に面白かった。特に歴史学者の藤原辰史氏の言う潔癖主義への警鐘。人間を虫のように排除してきた歴史を振り返り、現代そして未来に訴えかける同氏の主張は目を見張るものがあったと思う。また、生物学者の福岡伸一氏の「パワー(権力や武力)を求めないことが真のパワー」という発言も正鵠を射ていると思った。そして何より、30年以上前に製作されたにもかかわらず、今なお強いメッセージ性を持つ「ナウシカ」の魅力は底知れない。最近、映画を見た甲斐があった。

ナウシカはなぜ墓所を破壊したのか : 蔵六日記
ナウシカはなぜ墓所を破壊したのか    2020年 08月 02日
BS1で「コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗」を観る。とても興味深かった。
漫画版『風の谷のナウシカ』を題材にして、今の社会の問題点を指摘、

ナウシカは昔一応7巻全部読んだけど、途中から難解で読み飛ばしていた。今回題材になったのはその部分。改めて読み直したいと思った。
伊藤亜紗さんという方は知らなかったが、一度著作を読んでみたい。