温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

火花読了~共感主義や仲よしクラブから距離を置くような記述に私は反応した~

2015-09-19 17:52:39 | 

数カ月前に図書館で予約していた「火花」をさっき読了。約4~5時間かな。昨日20ページを程読んで、今日一気に読了。
実は、アーヘン出張時にこの本が用意出来たとの連絡を東京の図書館からもらい、取り置き期限は9月16日までということで、13日帰国後、14,15日は仕事で図書館に行けず15日に夜東京に移動して、期限ギリギリに手に入れた。
一気に読んでしまったこと、TVなどつけっぱなしの中で呼んだにもかかわらず、結構集中して読めたので面白かった。感想はアマゾンの下の方とほぼ同じ。
読みだしてすぐ、太宰っぽいな、確かに純文学だ。つい最近北杜夫の「風立ちぬ」など読んでいたせいもあって古い言葉使いなども、好感が持てた。
よみだして、まず熱海が舞台で花火の話題、数カ月前に熱海のスコットで飯を食った私には身近なものを感じて、いきなり結構引きこまれた。その後も高校のあった三宿や大橋などが出てきたのも嬉しい。

Amazon.co.jp: 火花: 又吉 直樹: 本
芥川賞候補とお聞きして、先日購入し2時間で読了しました。今まで芸人さん等が書いた類のイロモノは読んでこなかったので、かなり食って掛かって読みましたが、思ったよりも好感が持てた、と言うのが素直な感想です。

先ず、良いと思った点。純文学らしい、「人間の奥底にある、取るに足らない問題」を主題としている所。主人公の心情や性格が作りこまれており(これは作者自身の事かもしれませんが)、彼の人生の生きづらさや迷い、憧れ、守りたいものが読者に訴えかけられ、私たちは自然と自分の人生や考えを顧みさせられます。また、登場人物において素晴らしかった点は、全ての人間が人間臭い事です。陽と陰の部分が脇役においても細かく書き込まれ、生臭さを感じさせられます。

文体については、賛否両論あるようですが、自分は、大正・昭和初期の文学を彷彿とさせるような言葉の言い回しに好感が持てました。崩れたと思ったら、固い文になる、という事に違和感を持つ人もいると思われますが、自分はピシっと空気が締まる雰囲気がして、芥川龍之介の晩年の作品を思い起こしました。しかし、文体は好みもありますし、作者の書き方だとペダンチックだと受け取る人も少なからずいると感じます。

前半の以下の神谷の言葉が強く印象に残った。
「平凡かどうかだけで判断すると、非凡大会アピールになり下がってしまわへんか?、ほんで反対に新しいものを端から否定すると、技術アピール大会になり下がってしまわへんか、ほんで両方をうまく混ぜてるもだけをよしとするとバランス大会に成り下がってしまわへんか?」
「一つだけの基準を持って何かを測ろうとすると眼がくらんでしまうねん。たとえば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。…」
特に「たとえば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。」の部分はおもわず、そうだ!、そうだ!と共感。ずっと前からFBの共感の気持ち悪さを感じてる私には、ビンビン来た。FBいつ止めるか考えていたのでね。特に美味しいもの食ったとか、私はこんな素晴らしい体験していますみたいなのは、FBの本当に気持ち悪いところ。
最後にタイトルは「火花」でなくて「花火」方がいいと思ったんだけど、下を読んだら、まあ納得かな。
ピース又吉直樹が小説のタイトルを火花にした意味を知ってる? | ネクストブレイク研究所
ですが、あえてタイトルを『火花』にしたのはこの小説に出てくる芸人は花火の中の1つの火花みたいな存在という意味があります。たくさんのモノの中のほんの一つということなんですね。


その他のブログを紹介。
又吉直樹「火花」の感想 | KEIZOブログ
熱海の花火大会で漫才をやっていた僕(徳永)は、同じく漫才師である神谷(かみや)と運命的な出会いをします。その時の神谷の漫才は、前を歩く見物人に「地獄、地獄、地獄・・・」と、弾丸のように言葉をぶつけるだけの攻撃的なスタイル。ただ、母親に手を引かれた女の子にだけ、「楽しい地獄」と優しい言葉でささやいた。そこに、ある種の真実を感じ取った「僕」は、4歳離れた神谷に弟子入りします。