梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記・通行人の女のことで…

2008年06月18日 | 芝居
16日付の記事にコメントを頂戴しました<さくらひめ>様。

『髪結新三』での私の<通行人の女>ですが、昔からこの場の通行人は女でもほぼ<素面(すづら。いわばスッピンのこと)>で出ることになっておりまして、私も先人の教えに習い、白粉を使わない極薄の化粧しております。そのため私のもともと浅黒い地肌ほぼそのままで出ることになり、結果、貴方様から頂いたコメントのようなご指摘を受けてしまったのだと存じます。

この演目のような、ごくごく写実なお芝居では、その役<らしさ>を出す意味でも、<行儀>という面からも、脇役は立役でも女形でも、ほとんど化粧らしい化粧はいたしませんが、外に出ないわりには地黒な肌の私、海に行ってきたかのような肌をお客様にさらすのを心苦しく思っているのも正直なトコロなんです。
実際御覧になった方にどう見えているか、この度頂戴したコメントで初めて知ることができました。諸先輩方に伺った上で、もし可能ならば化粧の仕方を変えてみようと思います。また、これからは美白に取り組んでいかなければ!

大事なご意見をたまわり、心より御礼申し上げます。有り難うございました。

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2 コメント

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Unknown (さくらひめ)
2008-06-19 10:02:10
本日はお言葉を頂戴致し恐縮です。有難う御座いました♪ 「歌舞伎」は伝統を受け継ぎ保存して行くものだけに、なかなか難しいことも多々有るでしょう。「世話物の写実で」と、一言で切り捨てられるかもしれませんが、「歌舞伎の虚実」ということも又多々有ることで、「広重の錦絵」みたいに綺麗な風景(この場はちょと暗いかな)に感動している現代人に、それなりの女性を走らせて見たくもなりますね(^_^;)
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さくらひめ様 (梅之)
2008-06-19 18:14:11
芝居に出る立場の者といたしましても、演目ごとに伝わっているしきたりとか約束事にはいろいろ考えさせられることがございます。
永代橋を綺麗な町娘や芸者が駆け抜けていってもなんのおかしいこともないはずなんですがね。
この頃は主演の方のお考えやご工夫で、そういう昔からのやり方考え方が変わることもままございます。そうした事例は可能なかぎりこの場をお借りしてご紹介できたらと考えておりますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
…私自身は、皆様からの今回のようなご意見に対しまして、「歌舞伎だから」とか「昔からそうなってるから」とかいう言葉ですますつもりはございません。どういう意味でそうなっているのか、どういう効果をもたらすのか、よくよく調べ、伺い、理解した上で、皆様にご説明いたしたいと考えております。それが、未だ修行の途中にある者としての勉強でもあると思います。
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