梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

ただ感謝のみです

2009年08月25日 | 芝居
本日、第15回《稚魚の会・歌舞伎会 合同公演》、無事千穐楽を迎えることができました。
出演者一同、無事にこの日を迎えられましたこと、ご来場下さいました方々に、心より感謝申し上げます。

国立劇場からのご提案によりまして、<より若手のための勉強会>となった今回。
年明け早々の最初の会議以来、不安な気持ちでいっぱいでした。
これまで運営の面でも舞台の面でも、なにくれとなくお世話下さった先輩方がいらっしゃらない状態で、はたしてどれだけの成果をあげられるのか。
集客力、事務能力におきましても、大変心細く、今日の今日まで、(本当に大丈夫なのだろうか)という思いは消えませんでした。

正直申しまして、反省点、課題点多々。真摯に受け止めねばなりません。
御覧下さった皆々様の、率直なご意見、ご指摘を賜り、次回少しでも改善してゆかねばならないと思っております。

ただ…。
今回のような形態になって、我々がこれまで以上に<勉強>になったことはとても多うございました。
大役に挑戦できた者、事務の大変さを知った者、お客様とのつながりやご縁というものの大切さがわかった者…。
色々な面での初めての経験に、これまでの意識を大きく変えられました。そして、これまで先輩方にいかに甘えていたのかを知りました。

各班、各演目、各役の成果がそれぞれ分かれるのは、これまでもそうだったのかもしれません。
が、そういうこととは別の次元で、今回の出演者それぞれは、ひとことでは表しにくいのですけれども、貴重な時間を過ごさせていただき、大事なコトを学んだと、私は思っております。信じております。

もっともっと、この会の水準があがり、「やっぱり若手に託してよかった」と、御覧下さった方々におっしゃって頂けるようになるまでは、まだ時間がかかると思います(もちろん、私を含めてです!)。
そういう意味で、文字通り<稚魚の会>なんだな、と、強く感じました。

勉強するしかありません。稽古するしかありません。その成果を、毎夏に問うしかありません。
どうぞ、今後とも我々をお見守り下さいませ。
どんどんご意見ご指摘を下さいませ。

ひたすらお願いする次第です。

               ◯

『双面』渡し守おしず。
当初感じた難しさがだんだん楽しさになり、それがまた怖さになってくる…。
お稽古が始まってから今日までの、3ヶ月間の感想です。

お目まだるいものをお見せしてしまいましたが、公演中、とにかく楽しく、学んだことを大切にやるだけ! という思いのみで勤めさせて頂きました。
こういうお役を、勉強会といえどもさせて頂けるのは、まだまだ先の話と思っておりましたが、これも会の顔ぶれが変わったためとは申せ、これまでにない経験をさせて頂きましたこと、有難く思っております。

ご指導下さいました藤間勘祖師、勘十郎師はじめ、多くの方のお力で、なんとか勤めおおせることができました。
この場をおかりして、あつくあつく御礼を申し上げまして、まずは4日間の舞台を終えての御挨拶とさせて頂きます。

今回の《勉強会》に携わった、全ての人々に感謝!
本当に、本当に有り難うございました!!

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3 コメント

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ありがとうございました (SwingingFujisan)
2009-08-26 09:08:10
お疲れ様でした。そして素晴らしい公演をありがとうございました!!
実力十分な役者さん、今後の健闘が楽しみな役者さん、それぞれの演技を拝見して、とても感動しました。
ご多忙の合間を縫ってこうした立派な公演を成功させたのは、皆さん一丸となって真摯に取り組んだ成果ですね。事務等でお心を砕かれた梅之さん、本当にお疲れ様でした。

おしず、素晴らしくよかったですよ!! 男前な美しい渡し守の雰囲気が十分出ていましたし、踊りも、ちょっと低めに抑えた声でのセリフも、素敵でした。
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お疲れ様でした (miko)
2009-08-26 12:32:10
昨日A班の舞台を観た者です。梅之さんのブログを読んで、この公演に行こうと思い立ち、数日前にネットで予約しました。出演者の皆さまの熱気が感じられる舞台、教えられたことをきっちりと表現しようとしている真摯な姿に感動を覚えました。梅之さんの「おしず」は、身体に踊りがしっかりと入っていて、動きに無理、無駄、むらがなくて、とても良かったと思います。日ごろの研鑽の成果が現れているのでしょう。本当にお疲れさまでした。
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なるほど (けい)
2009-08-26 12:34:58
この梅之さんの文章を拝読し、今回の会の大変さを改めて推察する次第です。
キャリアのある方がいろんな面で優位なのは当然のことと思います。
私なりにごひいきの役者さんはありますが、それでもせっかくの会で、本当の意味での若手の皆様に、均等にいろんな機会が与えられればいいのに、と感じたこともありました。
大変だとは思いますが、ますますご精進いただき、また次の方たちへバトンタッチしていくためにも頑張って下さい。
普段の舞台を拝見していても、応援する気持ちになるものです。来年も楽しみにしております(って鬼に笑われますね)
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