梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『合同公演』日記 おわりに

2009年08月26日 | 芝居
昨日までの舞台の興奮と、どっと押し寄せた疲れが入り混じった微妙な体調のまま、午前中に『双面』をご指導下さった藤間御宗家に出演者揃って御挨拶。
そのまま国立劇場へ向い、出演者一同のチケット代金を入金。昼過ぎには、日本芸術文化振興会理事長様へ無事会が終わったことをご報告。
そのまま出演者全員と養成課の皆様で、今回の<反省会>2時間かけて“次へつながる”討議をじっくり。

これで、本年度の《合同公演》に関する仕事は全て終わりました…。
この日を無事に迎えられて、本当によかった!

                ◯

会議後、ご来場頂いた皆様からよせられたアンケートを拝見させて頂きました。
なかに、私の<渡し守 おしず>につきまして、
「研究熱心さが、悪い方向にでている。もっとさらっと演じられたらよい」
という旨の、ご意見がございました(上記は原文のままではございません)。
これだ、この言葉だ! と思いました。

…私は、決して自分が研究熱心だとは思いませんが、勉強会に限らず本興行でも、ひとつのお役を勤めさせて頂くとき、お役の気持ちを見る側に伝えよう、表現しようと思うあまり、過剰な部分が出てしまっていること、最近ようやく自覚させられました(遅すぎるのですが…)。これまで、なんら己を省みることなく、やみくもにがむしゃらにやってきてしまったことを、恐ろしく、恥ずかしく思っておりますが、もっと自然に動けるよう、余計なことをしないよう、考えすぎないように…と、これまでの月日のなかで染み付いてしまったこの<癖>のようなものを、取り除こうとしてる最中の今年の勉強会でも、このようなご意見を頂いたことは、気にしていることだけになんとも悔しく、課題を乗り越えられなかった自分が情けないのです。

一生修行の世界です。この課題を忘れずに、あきらめずに、いつか余分なものが削ぎ落とされた、スッキリした(中身がカスカス、というものでもない)お芝居ができるよう、気をつけてまいる所存です。

どこのどなたなのかもわからないのですが、私にとりまして、肝に命ずべき、大切なお言葉を下さいましたお方へ。
この文章をお読み下さるかどうかもわからいないのですけれど、心より御礼を申し上げたいのです。
本当に有り難うございました!

                ◯

来月は、歌舞伎座さよなら公演<九月大歌舞伎>に出演です!
昼の部『龍馬がゆく』に<「ええじゃないか」を踊る群衆の女>、『馬盥』の<腰元>を勉強させて頂きます。
どうぞ大勢のお出ましをお願いいたします。そして、どうぞご指導ご鞭撻のほどを!


期間限定《合同公演》日記
これにて 完

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1 コメント

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お疲れ様でした (usagi)
2009-08-26 20:17:29
合同公演は何となく見に行った7回目以降、私にとっても毎年の夏の大事な熱い行事です。通常の歌舞伎公演はやや批評家の眼で見ていますが、合同公演は普段は脇に徹していらっしゃる皆さんのすばらしさを再発見できたり、まだ経験が浅い方もその一所懸命さに好感が持てるので、毎年気分よく拝見させていただいています。また僭越ながら、ご出演の皆さんがそれぞれに成長していることも毎年実感しております。
とにかくお疲れ様でした。
今から来年を楽しみにしています!

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