梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

おさだまり

2009年02月06日 | 芝居
『蘭平物狂』の幕切れは、主なる登場人物が居並ぶなか、主人公である奴蘭平実ハ伴義雄が中央で緋毛氈の"三段"に上がり、ツケの打ち上げも華々しく皆々引っ張りの見得。

いかにも大時代な狂言らしい演出です。

先ほどまで大立廻りをみせていた花四天も、槍を手に上手下手に居並んでおりますが、止め柝の「チョン」をきっかけに、いっせいに槍を舞台に打ち付け、バンッ!と音を出してから改めて構え直しておりますが、これは古風な狂言ではよく見られるやり方で、『千本桜』の「奥庭」や舞踊の『将門』でも行われていますね。

…以前澤潟屋(段四郎)さんの『鎌髭』が上演されましたとき、私は花四天をさせて頂きまして、やはり古風な芝居でしたからこのやり方をしたのですが、ある日いつもと同じようにバンッとやったら、打ち付け方がまずかったんでしょうか、槍の穂先からボキッと折れてしまいまして、今さら予備と取り替える時間もなく、ひとりだだの棒を持ってキマるというハメになってしまいました。
いくら鹿爪らしい顔をして「ヤァーッ」とヤ声を言ったところで、手にいているのが折れた棒ですからね。茶番ですよこれは。
終演後は同じ役の皆様にお詫びしっ放し。恥ずかしいやら情けないやら、悔やんでもかえらぬ失態でした。

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