梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’08 前夜編

2008年06月29日 | 芝居
今回の<公文協中央コース巡業>のふりだしは、蒲田駅からほど近い【大田区民ホール アプリコ】。一昨年の同コースでは千穐楽にお邪魔した会館です。

楽屋のつくりや舞台の寸法など、一度でも経験しているところでの仕事は安心して勤められます。そういう意味で、今回の道中は行ったことのある所ばかりですので、有難いと言えば有難く、一方ではドキドキがないぶん刺激がない!? とも申せましょう。
お昼から楽屋作り、午後2時から『橋弁慶』『口上』『毛谷村』『神田祭』と通して<舞台稽古>です。
なんだかんだで、全演目に関わっておりまして、ず~っと舞台か舞台裏か師匠の楽屋にいた1日でした。自分の楽屋にいたのは、『神田祭』の後見になるために、ヘアセットをしたときくらいでしたよ、ホントに…。

『毛谷村』では、弥三松役で子役さんが出演いたします。最近は、どんな公演でも<子役さんはダブルキャスト>になっておりまして、今回も興行の前、後半に分かれて2人の男のコが舞台を勤めます。
舞台稽古は今日1回しかありませんが、2人ともに舞台に慣れるよう、公平にお稽古をするために、まず1人目が通し稽古に出て、それからもう1人が、弥三松が登場するくだりのみのお稽古をいたしました。鬘をかぶったり衣裳を着たり、花道を歩くということだけでも、稽古場と舞台とは大きく勝手が変わるものです。二人とも、自分の演技はちゃんと舞台上でできましたから、これで大丈夫ですね~。

師匠の『神田祭』。後見としての用事はとても少なく、舞台滞在時間も一瞬の出来事ですので、いたかいなかったのかわからないくらいな存在になりたいと切に思っております。
清元の浄瑠璃や、賑やかな合方、お囃子に合わせた所作事の立廻りが後半の見どころになりますが、今日のお稽古ではそういう部分が三味線やお囃子の間にきちっと嵌まるよう、藤間の御宗家もいろいろとおっしゃって下さいました。
弟弟子の梅秋がそのカラミに出させて頂いておりまして、返り越しも含めてトンボで頑張っております。彼をはじめ<若い者>の皆様には、怪我なくひと月の舞台を勤められますよう、心より祈っております。

さあ、博多座に続き6月中に2回目の初日があく<公文協中央コース>。各地のお客様にお会いできますことを楽しみにしております。

最新の画像もっと見る