梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

伎芸天を紋所に

2006年07月21日 | 芝居
一日の休暇を頂いて、フル充電状態で臨んだ本日の公演。お休み前の舞台より心なしか体も軽く、元気にお役を勤めることができました。東京公演は残り三日、六回公演。無事に勤め上げたいものです。

…今月出演しております国立劇場は、今年で会場四十周年。校倉造りの外観と、広くゆとりのある客席、ロビー、大規模な機構を備えた近代的な舞台が調和した立派な劇場ですが、私達が一日を過ごす楽屋も、大変使いやすいです。
楽屋は一階のみで、舞台と同じ階ですから出番ごとの行き来が簡単で時間もかかりません。廊下が広いので大勢が衣裳を着けても通行が混雑することはありませんし、二十室近い楽屋の大半には押し入れがあるので荷物の収納ができ、廊下にはみ出すことはありません。さらに部屋内についていえば、小道具や衣裳を保管できる大きな棚、テレビ、ライトつきの鏡台、衣紋掛け、ハンガーラックが全ての部屋に常備されており大変便利ですし、付き人さんのための洗濯機、物干し場ももちろんあります。
楽屋風呂も三室あり、名題、名題下俳優が使う大浴室は洗い場だけでも十畳、湯船は八畳くらいもあるでしょうか。
出演者の下足を管理するのは、歌舞伎座同様<口番>さんですが、国立劇場の場合はあくまで楽屋口での用をするのみ。歌舞伎座のように揚幕を担当したり舞台の雑務はいたしません。楽屋内の庶務は<舞台事務所>という部署がなさいます。

いわゆる<大部屋>はないので、我々は四、五人、多いときなら六~八人ずつ分かれての部屋割りになりますが、歌舞伎座とは全然違う雰囲気での日々も、時にはよいものです。基本的に一回公演中心の劇場ですし、昼から始まり夕方に終わるという、たいへん贅沢なひと月を過ごせるので、国立の芝居に出たい! と密かに願う仲間は多いのですが、こればかりは、師匠のスケジュール次第ですからね…。

私は、年に五ヶ月この国立劇場に出演したこともございましたが、だいたい毎年一、二回ぐらいです。今年は十月に、再びお邪魔いたします。

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