梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記・目指す敵は…

2008年06月15日 | 芝居
『対面』といえば思い浮かぶ意匠が、写真の<庵木瓜(いおりもっこう)>ですね。
今月師匠がお勤めになっていらっしゃる、工藤祐経の紋。祐経の衣裳はもとより、装置の壁面、煙草盆や脇息などの小道具にも、この模様があしらわれております。

この紋の成り立ちに、面白い説がございますのでご紹介いたします。なんでも、工藤氏の祖、藤原為憲(平安初期の人物)が<木工助(もくのすけ)>の官位を朝廷から賜った際、木“工”助の“藤”原氏なので“工藤”の姓を名乗るようになったのですが、造営、材木採集、職工の手配や管理という、いわば<家>に関係する職分ということで<庵>を描き、さらに<木工>の読み「もく」の洒落で「もっこう」を中に置いた、というのです。

ことの真相はわかりません(木瓜という模様自体、その成立、源流が定かでないそうです)が、これが本当だとしたら、なんともおおらかな話ではございませんか?

※こちらの手違いで写真の掲載が遅れてしまいましたことをお詫びいたします。

ちなみに、曽我兄弟の紋は<山形木瓜(やまがたもっこう)>。工藤家とはもともと近しい家ですから、紋にも共通するパーツがあるのです。

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3 コメント

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残念? (oldtimer)
2008-06-15 23:12:15
庵木瓜の写真がないのが残念です。
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一夜あければー (0idtimer)
2008-06-16 16:10:57
お写真有難うございます。

「対面」の工藤祐経館の舞台装置の襖絵も、この紋で

すね。

ご丁寧に書き込みにもお侘びの文言を入れていただい

て、恐れ入ります。

梅之さんの大磯の虎を観てみたいですね。
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木瓜 (梅ごよみ)
2008-06-23 11:47:53
たしか、「籠釣瓶」の八つ橋も横木瓜だったような…。
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