梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

旅だより その3

2009年07月15日 | 芝居
<公文協中央コース>は、これから東海地方へと巡ってまいります。
本日は長野公演だそうですが、《合同公演》で『双面』の<法界坊と野分姫の霊>を演じる、中村蝶之介さんからお便りが届きました!


今回、『双面水照月』の法界坊と野分姫の霊というお役を勤めさせて頂くにあたり、本当に多くの方のお力をお借りしております。
例えば衣裳方さんには、慣れない振袖や裾の扱いを学ぶため、巡業先でお稽古できるように、女形の衣裳をお借りしたいとお願いいたしました。
いざ稽古と思ったら、開けてびっくり。なんと本番で使うものと同じ衣裳を用意して下さったのです。
「たまたまあった」とおっしゃいますが、そのお心遣いに感激いたしました。
写真は、稽古のあとに汗を乾かしているところです。



黒地玉子色ぼかし縮緬 源氏香と荵の模様の振袖

何より、こちらの巡業のスケジュールに合わせて、お忙しいところお稽古して下さる藤間の御宗家、そして様々なアドバイスを下さる先輩方、同期…
皆様のご厚意に応えられるよう、精一杯努力したいと思います。



…衣裳方さんのお心遣い、本当に嬉しいですね~。
蝶之介さんは根っからの立役さんですから、お組のソックリさんとして踊る間は、衣裳に振り回されないようにするのが大変だと思います。この衣裳は縮緬ですから大変柔らかく、柔らかいとそれだけ扱いが難しい(体についてきてくれない)ものですから、本番通りの衣裳でお稽古ができるのはかなり実践的デス。

私が法界坊を勤めさせて頂いたときの松若が蝶之介さんでしたが、今回はおしずと法界坊。役をかえて共演できるのは、不思議な因縁と申しましょうか。
思い出の一枚を載せて、結びといたしましょう!(私の化粧が拙いけど…)