梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

短文にて失礼します

2006年04月23日 | 芝居
用事があって、ただいま帰宅いたしました。
さあ四月大歌舞伎もあと二回! ゴールは目前ですが、自分にとって納得のいく毎日を送ってこられたか、あらためて振り返らねばなりませんね。…私が勤めさせて頂いた三役のうち、一番難しかったのは、『沓手鳥弧城落月』の<関東方武士>の立ち回りでした。激しさ、リアルさを求められる立ち回りを、兄弟子お二人、そして部屋子披露の梅丸との四人で勤めさせて頂きましたが、こういう立ち回りはその日その日でお互いのイキが変わりやすいもので、毎日きっかり同じ動きというふうには参りません。まして立ち回り初体験の梅丸とからむわけですから、相手の動きや出かたを瞬時に察して、できる限りあわせることが必要でした。もちろん兄弟子とのからみも同様です。立ち回りが単なる<手順>を見せるだけにならないように、今初めて出会った敵同士の斬り合いに見えるように努力いたしたつもりですが、お客様のお目には、どのように映りましたでしょうか。
お陰様で、梅丸が太刀を抜いて構えたところや、私の足を斬ったところで、暖かい拍手が湧く日が多くございまして、なんとか<見せ場>にはできたのではないかなと、ホッとしているのですが、時にはお互いの息が合わず、変な間を作ってしまった
日もあり、録画したモニターを見て反省したり、ダメを出し合ったりしながら、少しでも良くなるようにいたしましたが、一門だけで演じられたことで、意思の疎通は非常にスムースにはかることができましたので、本当によかったと思います。

残り二回の戦いも、皆で真剣に勤めます!