梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

聞くも無粋なことながら

2006年04月17日 | 芝居
二年前から使っていたデジカメが壊れてしまいまして、しばらく写真なしの記事になってしまいます。…資料記録に、思い出作りに、全国どこにでも連れ回し、随分と酷使しましたからね~。長い間お疲れさま、と言ってあげたいです。

さて今日は「年齢」の話。
今日名題下俳優で「みんなの実年齢」が話題になりまして、あらためて先輩や仲間達の年を聞きますと、「そんなに若かったの?」とか「親と同い年なんだ!」というような驚きばかりでした。
私は今年で二十六歳になりますが、見た目が老けているせいか、三十代に見られたりすることがままあって悲しくなります。逆に若く見られる先輩が羨ましいですが、考えてみると、同じ舞台に、あるいは同じ楽屋に、様々な世代の役者が一緒になって働いているのは、不思議な感じですね。同じ<花四天>役で出ていても、上は五十代から下は十代まで年齢はバラバラ、なんてこともあるわけですし、同じ芝居で、町娘役を四十代の人が演じ、その父親役を三十代の人がやる、なんてことも、時にはあったりするのです。
もちろん、演者の実年齢はお客様には関係ないわけで、その役らしく化ければOKなのですが、演じているもの同士はどこか照れくさかったり…。
それからこの世界は入門した順で、ある意味での序列が生まれるものですから、自分にとって<年上だけど後輩>の人とか、<同い年でも大先輩>ということもございます。人間関係の上での礼儀、行儀もかかわることだけに、「タメだから友達だよね~」なんてお気楽なことは言っていられません。

そういえば今月の「口上」では、歌舞伎界最高齢の播磨屋(又五郎)さんと、今月初舞台の五代目玉太郎さんが同じ舞台に並んでいるのですが、その年齢差じつに九十歳! 伝統芸能の世界ならではの光景かもしれませんね。役者の年齢はないとは申せ、いつまでもお元気な播磨屋さんのお姿を拝見いたしますと、僭越な申し様になるかもしれませんが、教え子の一人としても本当に嬉しく思っております。