梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

私は<超>敏感肌なので…。

2006年04月19日 | 芝居
女形の化粧による肌荒れは、いちおう治まってはきていますが、まだまだヒリヒリ、カユカユでつらい毎日です。
以前にもお話しいたしましたが、白粉をしっかり顔に付けるために、下地として塗る固形の<鬢付け油>これがどうやら私には合わないようなのですが、今回のようにしっかり白粉を塗る役の化粧では、どうしても下地は付けなくてはならないので、<鬢付け油>をやめるわけにはゆかず困っておりました。
そもそも<鬢付け油>とは、櫨(はぜ)の実からとれる木?(もくろう)と、菜種油などの植物油を調合して作られた固形の油でして、?の配合が多くなるほど固くなるのです。化粧下地として使うのは、柔らかめなものが大半ですが、固いものをよく伸ばしたうえで使うと、塗った白粉が落ちにくくなるので、個人の好みに応じて使い分けられております。化粧品店で売られている<鬢付け油>の中には、固さを表す番号が表記されている商品もあり、数が大きくなるほど固くなります。
私も今までこの<番号つきの鬢付け油>の「六番」を使っていましたが、最近肌の上での伸びが悪いように感ぜられ、無理に伸ばすとヒリヒリと痛むので、何とかせねばと思っておりました。先日仲間と<自分にあった化粧道具>の話になったときに、これとは違うメーカーの<鬢付け油>が、伸びがとてもよいということを教えられたので、今日から変えてみましたら、本当に滑らかに伸びてくれ、全く痛みもなく塗ることができ、しかもお白粉のつきも抜群だったので、嬉しくなりました。肌の負担も減ったようで、これからもずっと使うことになりそうな、よき巡り会いとなりました。
ただ、これはあくまで私の場合でして、人によっては肌質も体質も違うので、必ずしも私と同じ結果が出るとは限りません。皆様もそうでしょうが、自分にあった化粧品を見つけるのは、簡単なことではございませんね。

ちなみに、ごくごく薄く白粉を塗るような化粧では、<鬢付け油>をつかわずに、親水性のハンドクリームや軟膏を下地として塗ることもございます。白粉が付きすぎず、いわゆる<薄化粧>ができるわけですね。でもなかには素晴らしい肌質の持ち主もいて、私が<鬢付け油>を付けた上で仕上げた真っ白な顔を、ハンドクリームの下地だけでたやすく作れるのです。同じ人間なのかしらと思ってしまいますが、きめの細かさや地肌の油分、水分のバランスなんでしょうね…。