TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

Fix: The Story of An Addicted City

2004-05-14 19:58:54 | インポート
夕方、夫とドキュメンタリー映画を見に行く。

舞台は、バンクーバーのイーストサイド。
私は西海岸を訪れたことはあるが、暮らしたことがないので知らなかったが、
ここは北米で最もエイズと肝炎の発症率が高いところだそうだ。
ニューヨークのゲットーを上回るとは、カナダもなかなかやるじゃん。

ここに麻薬中毒者のための safe injection site を建てようとがんばるジャンキー
と、支援者の女性、市長、警察、反対する住民たちの過去数年間をカメラは追う。

麻薬取締りというのは、ザルで水をすくうようなものだ。いくらジャンキーや
ディーラーをつかまえたところで、シャバに戻れば彼らは必ず、必ず!ヤクを
再開する。ヤクの蔓延のもとで、使用済み注射針の再利用によるエイズや肝炎が
広まり、またヤクの打ちすぎで死んだジャンキーの死体が町中にころがる。
古注射器を探して、ゴミ箱やドブをすくう中毒患者の様子が痛々しい。
リハビリにぶちこんだところで、一度覚えたヤクの味を完全に忘れるわけではない。

それならいっそ、衛生的で安全な場所を提供し、ジャンキーたちが幸せに麻薬を
注射できるようにしよう、というのが safe injection site のアイデアだ。
ドイツのフランクフルトにある施設をモデルにしている。カナダのバンクーバー市は、
北米で最初の safe injection site を、昨年秋にオープンした。麻薬使用は
止められないが、少なくとも感染病の蔓延はくいとめられるかもしれない。

映画では、貧困で見るからに病気のジャンキーしか映ってないため誤解されやすい
と思うが、実は麻薬中毒患者は一流企業のサラリーマン・医師・大学教授・弁護士
などのホワイトカラーに多い。映画の主人公DeanだってIBMの優秀な営業マンだった。
仕事のストレスを紛らわすためにヤクに手を出す。彼らは学生時代にマリファナ
やってるから、それと同じ感覚で始めて結局は習慣になっちゃう。しかし彼らは
いわゆるスマート・ユーザーで、周囲に気づかれない程度に抑えている。

これはバンクーバー市だけでなく、北米全土の問題だ。
子供を語学留学に送り出す前に、親はこの映画を見て考えないとねえ。