TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

さいごの豆

2024-01-29 11:25:22 | その他

今年も、日本の何十年来の友人から小包が届いた。

 

節分の豆まきセットである。

こちらで節分豆なんて手に入らないから(大都市はともかく)、こうした日本独特の行事に必要なものは貴重品。彼女は、なつかしい日本の味をいろいろ取り揃えて箱詰めにし、毎年今頃の季節にこちらに送ってくれたのである。もうかれこれ、何十年になろうか。

 

TABIが元気だったころは、豆まきセットについてきた鬼のお面をかぶったTABIパパを、TABIと一緒におっかけては豆をまいた。豆まきが終われば、「あーこれで今年もいい年になるね」と、家族で炒り豆をポリポリ。楽しい年中行事だった。

 

しかし今年の豆セットに添えられた彼女からの手紙には、「来年からは送ることができなくなりました」とあった。

 

日本郵便の話では、今度からカナダあて小包は全てパソコンかスマホで必要事項を入力しないとダメで、手書きの宛名は受付ないのだという。

 

彼女は自身いわく「超アナログ」。パソコンも携帯も持たない。従って、もう送ることができないのだ。

 

時代の流れと言うべきか。Good things never last long とよく言うが、個人ではどうすることもできない。テクノロジーの波に乗らなければ、庶民の小さな楽しみも奪われてしまう世の中なのである。

 

最後とあってか、今年はいろんな豆菓子をたーくさん送ってくれた。私たち夫婦は、もう二度と来年からは味わえない豆を大切に、少しづついただくことにしよう。

 


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Spring is just around the corner

2023-03-04 00:26:27 | その他
朝から雪が振り続け、玄関先には除雪車が捨てていった雪が2メートルほどの山をつくっている。

こんな時期は、春を先取りしてパステルカラーを着て波動を上げるのが一番。今日は、レモンイエローの薄手のセーターにした。

お隣の奥さんに、ピンクのチューリップの鉢植えを持ってお見舞い。
彼女は昨年末から、放射線と抗がん剤の治療を続けている。秋には、「お正月にはコスタリカに夫婦で旅行に出るから、留守をお願いね」と元気に私達に頼んでいたのに。突然、ガンが見つかったのだ。

彼女はずーっと家にこもりっきりだったので、私が彼女に会うのは三ヶ月ぶり。丸坊主になってしまった頭をニット帽でかくし、水分の滞留で体中がむくんだ姿には、田舎道を楽しげにサイクリングしていた昔の面影はない。もともと透き通るように白かった肌は、貧血でさらに青く見える。

チューリップには、彼女が大好きな鳥、ブルージェイのカードに「春はもうすぐそこだよ」と書いたものを添えた。それを見て、やっと満面の笑みをたたえる彼女だった。

「長い冬だったね」と私が言うと、彼女はホロホロと涙をこぼした。
「辛かった。本当に、辛かった」と、ほとんど言葉にならない。

鉢植えのチューリップは、私が買ったときはまだ蕾が青く固く、花屋さんはあと10日は咲くまでかかる、と言っていた。が、私が花にお願いしたところ、翌日にはピンクの蕾がニョキニョキと出てきて、もう咲く寸前にまできたのですぐにお隣に持っていくことにしたのだった。

旦那さんも出てきて、ちょっぴり涙を浮かべて「ありがとう」と言った。

かわいいチューリップの花が、彼女の心のなぐさめになってくれれば。

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今年の抱負

2023-01-01 00:22:40 | その他
遅れを取り戻す

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今年の抱負

2022-01-01 02:44:49 | その他
転んでもただでは起きない

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The Father

2021-09-26 05:40:06 | その他
Anthony Hopkinsが最高齢で二度目のオスカーを獲得した映画。

記憶が混沌となってゆく高齢の父親と、その世話をする中年の娘。
先進国の高齢化社会では、おそらく大半の人が共感できる話だろう。腕時計がない、誰かが盗んだ、なんてことはよくあることで、クスッと笑ってしまう。だけど、痴呆の家族の介護を経験したことのない人にとっては、「なんだこれ?つまんねえ」で終わってしまう。TABIパパも、その一人だ。

Anthony Hopkinsが父親、Olivia Colmanが長女、他にもそうそうたる名優が周りを固め、それだけでも見る価値のある一品。フランスの劇作がオリジナルとなっているそうで、プロデューサーは主演はAnthony Hopkinsしかいない!と決めて彼だけに脚本を送り、彼が承諾しなかったら映画にしないくらいの覚悟だったとか。物語はラストをのぞき父親の視点で描かれる心理ドラマとなっている。だから、単純な頭の人にはなんのこっちゃ理解できずに終わってしまうかもしれない。

いわゆる「まだらボケ」というのは、こういう状態なんだと思う。少しずつ、なにかが変わっていく。治ることのない、終着駅への長い旅路。主人公の心理を表すために、インテリア・デザインが凝った仕組みになっている。初頭の老父の自宅から娘の住む家、そして老人施設の部屋まで、全て同じ建物の同じ部屋を使用し、インテリアや色を変えることによって主人公の心の変化を表現したのだそうだ。

元はかかっていた壁の絵が、いつの間にか消えてる。椅子がない。たくさんあった本棚の本は、どこへ行ったのか。そして最終的には、何の個性もない病室のような冷たい空間に置かれて動揺する老父。

色の使い方も絶妙で、ティールとマスタードイエローが娘の服やインテリアに印象的に使われている。そういったディティールに注目しながら観ると、さらにおもしろいと思う。

最後のシーンで、介護士の女性を前に泣くAnthony Hopkinsの演技は他には誰にも真似できないもの。実際に、撮影中にスタッフ全員が涙を流したのだそうだ。

オスカーにノミネートされていたのに、Anthony Hopkinsは「どうせ駄目だろう」と思い込んで受賞式には出ず、ウェールズの家で早めに寝ちゃったんだそうだ。さすが大物!


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