2022年の作品。
ちょっとヒネた風変わりな作品で有名な Noah Baumbachが監督で、私の好きな俳優 Adam Driver (彼はなんと元アメリカ海兵隊員という職歴!)が出ているのだから、見ないわけにいかない。
しかしこの映画が上映後しばらくして急に有名になったのは、あまりといえばあまりな偶然の出来事が起こったからである。
映画は、オハイオ州の小さな大学のある都市が舞台。ある日、毒性化学薬品を積んだ大型トラックが貨物列車に激突し炎上するという事故が起きる。事故により発生した有毒ガスが町を襲い、住民はとるものもとりあえず緊急避難を強いられる。平穏な町が、一夜にしてパニック状態となり、人々の心が次第に不安定になっていく。
そしてこの映画が世に出てから半年後の2023年、なんとこの映画のロケ現場となったオハイオ州East Palestineで、毒性化学薬品を積んだ大型トラックが貨物列車に激突し炎上するという事故が起きる。
その事故後の展開は映画と全く同じで、有毒ガスと飲料水汚染のために数百人の住民が緊急避難を強いられた。この住人の中には、映画の撮影中にエキストラとして参加した人もたくさんいて、「あまりにシュール過ぎて、信じられない」と語っている。
「この世に偶然などひとつもない。全ては必然だ」
と言ったのは、誰だったか。こういう出来事があると、私達の叡智では計り知ることのできない不思議な力が、この宇宙には存在するのだと、しみじみ思う。