たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

現在進行形の神話

2020-09-21 09:21:08 | 古代の出雲

<膳夫神社 かしわでじんじゃ>

 

国譲り後の宴が行われたとされる

「多芸志の小浜」には、櫛八玉神(くしやたまのかみ)

を祀る膳夫神社(かしわでじんじゃ)の跡地があります。

何でも、「天津神」をもてなすための

料理を任された櫛八玉神は、

まず「鵜に変身して海に潜り、

取ってきた海底の土から土器を作り、

わかめの茎で臼、昆布の茎で杵を作ったのち、

その臼と杵で火を起こした」のだとか……。

 

櫛八玉神が「水戸神」の子であることや、

名称に渡来系海人族を暗示する「櫛」、

出雲族の聖数である「8」が

含まれていることをなど踏まえれば、

恐らくは天津神に恭順した

出雲側の氏族を暗示した名なのでしょう。

 

一説に、この宴には敗者である

「大国主神」も加わり、天津神との間で

「和解」が成立したとも言われておりますが、

その後の出雲の歴史を見れば、

「国譲り」が決して「キレイごと」では

終わらなかった現実が見て取れます。

 

その後、斐伊川下流の形状は治水工事などで

大きく変わったものの、

川を挟んで「天津神側」と「国津神側」

の神々が向かい合っている構図は、

神話の国譲りが未だ「現在進行形」

のものとして、イズモの国に根を

張っているような光景にも思えました。