<鳥屋神社 とやじんじゃ>
荒神谷の一帯以外にも、
タケミナカタをご祭神とする神社が、
四方を田んぼに囲まれた出雲平野に鎮座していました。
「鳥屋神社(とやじんじゃ)」と呼ばれるその社は、
まるで田園に浮かぶ小島のような社叢が目印で、
すぐそばには出雲を代表する
大河・斐伊川が流れております。
何でもこの社は、古事記に記される
「国譲り神話」と深い関わりがあり、
天津神の使者であるタケミカヅチと
力比べ(多芸志の小汀の決戦)をした際、
大国主命の子であるタケミナカタが投げた
「千引きの岩」が落ちたところなのだとか……。
そのとき岩にたくさんの白鳥が群がり、
まるで鳥小屋のように見えたことから、
「鳥屋」という地名が付けられたそうです。
ちなみに、縄文海進の時代この一帯は
「海(もしくは湿地帯)」だったと
思われる場所ゆえ、神社が建てられたのは
少なくとも「国引き」の後なのでしょう。
一説に、出雲国内で元から
タケミナカタをご祭神とするのは、
こちらの「鳥屋神社」だけという話もありますが、
もしそれが本当なら「タケミナカタ」という神は、
縄文後期から弥生時代にかけて
「出雲に現れた」と推測することができますね。