<洲本市由良>
「荒神谷遺跡」と「加茂岩倉遺跡」
で発見された青銅器の「×」の刻印について、
「358」という数字に注目をしながら、
あれこれとイメージを広げてまいりましたが、
実はもうひとつ気になる「×」
の謎を解くカギがありました。
それは、荒神信仰とも深い関わりと持つとされる、
「あやつこ(綾子/阿也都古)」という民間習俗でして、
東北地方ではヤスコ/ヤチコ、
淡路島ではヤッコなどと呼び、
京都、奈良、滋賀、大阪、埼玉、茨城……を中心に、
現在も一部の地域で行われているといいます。
ちなみに、「あやつこ」と申しますのは、
子供がお宮参りをする際、
鍋墨や紅などで額に「犬」や「×」、
もしくは「大」や「小」など
の文字を書く風習のことで、
何でもこの印には悪魔除けの意味があり、
額にこれらの文字を書いた子供は、
家の荒神様の庇護を受けている証とされ、
悪いものが近寄ってこないのだとか……。
基本的には鍋墨で「×」を記すことが多く、
「大」や「犬」などの漢字を使うのは、
近年になってからという話も聞きました。