たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

サカツコ

2020-04-16 09:01:28 | 大嘗祭

 

***** 大嘗祭 No.14 *****

古くは大嘗祭の陰の主役でもあった

「造酒童女(さかつこ)」は、

その名の通り酒造りに関わる童女を指し、

「悠紀・主基両国の現地の郡の

大領・少領の未婚の娘で、

卜占で選ばれた者」

がその役を担ったと聞きます。

 

実際には酒の醸造だけでなく、

大嘗宮で使用される材木の

切り出しや斎場の整備など、

主に準備段階で行われる様々な儀式を、

この「サカツコ」が祭主として

取り仕切っていたとされ、

大嘗祭当日の行列においては、

サカツコのみが白木輿(しろきのこし)

に乗せられて、神供などを納めた

黒木輿(くろきのこし)の前を

進んで行ったのだそうです。

 

つまり、サカツコという童女は

ただの奉仕者ではなく、

新たに天皇となる人物と同等か、

もしくはそれ以上に神聖な存在として

扱われていたわけですね。

 

専門家の中には、「本来の大嘗祭は、

稲とサカツコを主役とする前半部がメイン」

と解釈する人もいて、女性を主役として

祭祀を行っていた古代の名残が、

このサカツコという存在に集約

されているという話もあります。

 

いずれにせよ、サカツコという名称からは、

大嘗祭のカギを握っていたのが「童女」

であり「酒」であったことが伺えるのです。

 

【参考資料】

『大嘗祭―天皇制と日本文化の源流』

/著者・工藤隆インタビュー記事