***** 大嘗祭 No.12 *****
対馬の最南端にある豆酘(つつ)地区は、
「赤米(あかまい・あかごめ)」
と呼ばれる古代米を使ったお祭りを、
千年以上もの長きに渡り伝えている場所です。
全国でも「赤米」をお祀りに用いる場所は
数か所のみと聞きますが、特に「赤米伝来の地」
とも言われるこの対馬の豆酘地区は、
「当受け」「田植え」「お吊りまし」など、
年間を通して神事が執り行われている
「赤米の里」だと聞きました。
しかしながら、昨年の秋に行われる予定だった
祭りの中心となる儀式は、神事の祭主を努める
「頭仲間(とうなかま)」の方の急病により、
残念ながら中止となってしまったのだとか……。
つまり、ニニギがもたらしたとされる
「赤米」を使った重要神事の歴史が、
一時的にせよ途絶えてしまったわけなのですね。
一説に、皇極天皇の時代にはこの「赤米」が、
新嘗祭等に用いられていたという話ですから、
大嘗祭でも「赤米」が主役だった
時期が確実にあるのでしょう。
もしかすると、対馬という要所で行われる
「赤米神事」の中止は、2020年を暗示する
ひとつの「相」だったのかもしれません。