たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

ひとつの相

2020-04-14 09:52:55 | 大嘗祭

 

***** 大嘗祭 No.12 *****

対馬の最南端にある豆酘(つつ)地区は、

「赤米(あかまい・あかごめ)」

と呼ばれる古代米を使ったお祭りを、

千年以上もの長きに渡り伝えている場所です。

 

全国でも「赤米」をお祀りに用いる場所は

数か所のみと聞きますが、特に「赤米伝来の地」

とも言われるこの対馬の豆酘地区は、

「当受け」「田植え」「お吊りまし」など、

年間を通して神事が執り行われている

「赤米の里」だと聞きました。

 

しかしながら、昨年の秋に行われる予定だった

祭りの中心となる儀式は、神事の祭主を努める

「頭仲間(とうなかま)」の方の急病により、

残念ながら中止となってしまったのだとか……。

つまり、ニニギがもたらしたとされる

「赤米」を使った重要神事の歴史が、

一時的にせよ途絶えてしまったわけなのですね。

 

一説に、皇極天皇の時代にはこの「赤米」が、

新嘗祭等に用いられていたという話ですから、

大嘗祭でも「赤米」が主役だった

時期が確実にあるのでしょう。

もしかすると、対馬という要所で行われる

「赤米神事」の中止は、2020年を暗示する

ひとつの「相」だったのかもしれません。