天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

地上三センチの浮遊

2016-06-18 19:30:00 | エッセイ
『手放すということ』

桜を待ち望んでいたかと思うと、あっという間に散り、新緑の季節かと思うと、いつの間にか、濃いむせるような緑になっている…。

季節は、鮮やかに次のターンに移ってゆきます。後ろを振り返ることはありません。

人はというと、

自分が手にしたものを手放すのは簡単なことではありません。

多くのものを抱えていれば抱えているほど、

大事なものを抱えていればいるほど、

手放すのは難しいことです。

それは、物質的な「もの」も精神的な「もの」も同じです。

お金もクルマもバッグも地位も名誉も欲情も憤怒も憎悪もそして、「愛」と思いこんでいるものも。

すべてすべて。

きっと遠くから見れば、私たちは必要ないものを後生大事に抱えこんでいることでしょう。

そして、

「これを手放したら、破滅だ。」と思いこんでいるけれど、それはガラクタ同然のものだったりすることもあるのでしょう。

「執着」を捨てろとよく言われますが、

あまりにも凝り固まり、苦しみぬいていると、

なにが「執着」なのかがわからなくなってしまうのです。

「執着」を手放すことができるのは、自分だけなのですが、

「執着」を判断するのも自分だけなのです。

なんと、難しい選択を迫られることか!

手放すことは難しい。

けれど、

それに悩むこと自体が、人間らしいと言えるのかもしれません。








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