天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

烏の目に浮かぶ涙

2021-09-26 08:24:00 | 

強い人

優しい人

もう痛くはないだろうか

もう苦しくはないだろうか

彼岸に渡ってしまった


少年たちは泣いている


助けられた人間たちは

あなたの名すら知らないだろう

でも

あなたはそんなことは

取るに足らないことだと笑うだろう


あなたは

あなたが選んだ道を

胸を張って歩んだ


あなたは

己の強さを

ーそして限界すら

わかっていたのではないか?

(優れた者は冷徹に近いぐらい己の力量を見極めるものだ!)


あなたは

血の味を

涙の味を

知っている

だからこそ

刃をふるうことを

やめなかった


ただ目の前の脅威にだけ

全力を尽くした


あなたはわかっていた

自分の死は無駄ではないことを

泣いている少年たちに

託した重い理

彼らにはできると

信じた


あなたは強い

あなたは優しい

けれど

まだあなたも

若い青年だったのだ

わたしはそれが悲しい


そして


それを強いるこの過酷さを

憎むのだ


ー繰り言はこれぐらいにしよう

わたしはわたしの責務を全うしよう

あなたの元にいたのだ

わたしのやるべきことはわかっている


涙で目の前がくもる

わたしは力の限り飛翔した


※わかりやすい「鬼滅の刃 無限列車編」オマージュです。

想いの込められた熱量を感じました。

ひねくれた感情はわきにおいて、真っ直ぐに想いを受け止めたいです。




むいむい

2021-09-23 18:46:00 | 

あたしたちは
小さなむいむい

強い風には飛ばされる
激しい雨には流される

やわやわの葉っぱも
とげとげの葉っぱも

むしゃむしゃ喰むよ

紫の海の泡
蒼の月の涙

むいむいたちは
こぼれた
悲しさを
寂しさを

レース編みにして

喰んだ葉っぱにかけるのよ

穴だらけの葉っぱの
向こうに

きらきら光が見える

朝の露は
宇宙の営みをうつす

吹けば飛ぶよな
ちっちゃな
ちっちゃな
むいむいだけど

緑のカラダは
暗闇の中で
生きるのよ

弱っちくても
醜くくても

生き抜くよ

美しい世界は
そこに
息づくから


inspired by スピッツ 「紫の夜を越えて」




出来ることに舵を取れ

2021-09-19 09:47:00 | 
歳をとればとるほど
可能性は狭まり
出来なくなることが増える

過去への後悔
過去での分岐点

ああすればよかった
こうすればよかった

所詮結果論

老馬の戯言だ

この世界はもう
自分が主役ではまわらない

けれど

だからといって

不貞腐れて
不機嫌で
否定ばかりする

邪魔者にだけはなりたくない

若かりし頃
(これでも若い時かあったのだ)

そんな過去の亡霊たに
苦しめられたのを
忘れたくない

老兵はただ立ち去るのみ

前線から退いたからとて

それが世界のすべてではない

世界の片隅にいても
世界に存在しないわけではない

自分がまだできることはあり
(例え片手で数えるほどであっても)

そして

その刃は研いでおこう

静かに
目立たず

自分ができることに
舵を取れるのは
自分だけだ











缶を蹴飛ばすことはなくなった

2021-09-13 19:50:00 | 
悲しくないと強がった

蹴る缶はもうないことに
気が付いた

いつから
空き缶を蹴飛ばさなくなったのだろう?

膨らむほっぺは
胸の奥にはいるのに

涙で汚れた顔は
胸の奥にはいるのに

怒鳴り散らす
威張り散らす

大人はいるのに

ぼろぼろ泣く
しゃがみ込む

大人はいない

どちらが
子供じみているのか?

痛いよと
大の字になって
足をバタバタする自分を

想像して

鼻で笑ってしまった

痛いけど
苦しいけど

曖昧な微笑みで
紛らわす

大人の欺瞞


バーガンディ

2021-09-08 18:38:00 | 
深い深い褐色な赤
大人の隠れた恋心

秋になった

クローゼットから引っ張り出す
バーガンディのスカート 

墨黒のシャツを合わせて
カフェでアイスティーを飲む

透き通るアイスティーから
向こう通りを眺めれば

光さす琥珀色の世界

夏の名残はほんのりと
秋の訪れははんなりと

クロスする季節

結び目に結える
バーガンディのリボン