天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

私にも美しい時があった

2015-11-10 09:09:21 | 
子供たちよ

おまえたちは信じないだろうが

私にも美しい時があった

今はなめし革のような色の肌だが
昔は内側から光る陶磁器のようだった

生まれた時から
おまえたちにとっては
母だろう

それ以外は
ただ不快なだけだろう

だから

私は注意深くベールで隠した

けれど

私にも時間の流れがあり
私にもベールの外の顔がある

ゴツゴツした手の奥には
しなやかな手の動きが隠れている

子供たちよ

母が絶対の愛だった時は過ぎただろう

母が古びた骨董品に見えるのだろう

子供たちよ

おまえたちは信じないだろうが

私には熱い血潮が流れている

美しい時とおなじように


砂漠のリズム

2015-11-04 15:06:09 | 
そそけた大地
しゃがれた白に満ちている

巨人の背骨のような風紋
砂が口の中に入りこむ

錐のようにさす日差し
赤黒く輝く太陽

風がざわりと立ちあがる
砂がざらりと踊りだす

ベールを目深にかぶる

風がリズムを叩く
砂がメロディを奏でる

心臓が同じビートを刻む
砂と同じダンスを踊る

鏡の反射のまばゆい光
砂にこぼれる

白と黒のだんだら
砂に描かれる陰影