天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

ベーシスト

2019-04-27 06:36:45 | 
私は重低音の女王

高く手を差し出せ

強く足を踏みならせ

腹の下まで鳴り響く

私の相棒は

4弦の暴れん坊

唸れ
叫べ
踊れ

低く走る音は

タックルをかまし

やがて

天上へ連れて行く

竜巻となる

唸れ
叫べ
踊れ

曲に絡みつく蔦

ベースの音は

深いグリーン

私は重低音の女王

雷は
私の肩にぶら下がる

鳴らしてる?

2019-04-26 07:00:03 | 
心が鳴るわ

女はバイオリン

誰かが言った

抱き抱えて

鳴らせばいいと

ふふふ…

馬鹿言ってるんじゃないわ

鳴らされるんじゃない

自らが

鳴るのよ

あなたは

鳴らしてるつもりはないでしょう?

だから

私は

高らかに鳴るのよ

好きよ
好きよ

私を

揺らす

あなた

怒りの向こうにあるもの

2019-04-26 06:21:10 | 
湧き上がる怒り

ぶつけるのは誰?

叩きつけのは何?

戦うべきものは

きっと

強大で
歯が立たないもの

そこから

目を逸らして

手近で
くみしやすい

誰かに
何かに

怒りを投げつけてはないか

本当は

意味のない行為ではあるのだが

人は

恐怖や
絶望や
疲弊を感じた時

手っ取り早い
解決法を求める

そう

怒りの向こうには何があるのか

誰かを
何かを

サンドバッグにして
スケープゴートにして

溜飲を下げているわけにはいかない

自分は

とてつもなく
弱いから

楽なほうへ
楽なほうへ

流れる

どうしようもないやるせなさが
積もり積もって
爆発する

それが
怒りであるならば

対峙する相手を
間違えてはならない

それが
例え

自分の力ではどうにもならないぐらい

大きく
強い

巨人であっても


愛することに嘘はなかったのに

2019-04-25 06:32:06 | 
こぼれ落ちる
流れ落ちる

窓の外は曇天
灰色の海

私は砂になった
風に飛ばされる砂

私は舟になった
潮に流される舟

どこにも杭はない

それを寂寥と呼ぶか
それとも自由と呼ぶか

愛した人のはずなのに

その愛の輪郭すら
もう
思い出せない

あの人に
対する感情は何もない

憎しみという
負の感情さえない

道端の石にさえ
もう少し
何か思うだろう

愛していたはずなのに
愛することに嘘はなかったのに

今は
何もない

墓標すらも