天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

リズムを刻む

2017-05-28 19:14:10 | 

ギターを背負い

赤茶けた砂地を歩く

リズムを刻みながら

太陽は黄色く輝く

乾いた風が吹けば

砂が舞い上がる

ざらついた唇をぬぐい

埃まみれのハットをかぶり直す

灰色のマントははためき

延々と続いた自分の足跡は

砂紋の底に沈む

ふところでまどろんでいた

キジ猫がにゃあと鳴く

猫の顎をくすぐり

前を向く

はるか先には

水だ…

ささやかな緑

小さなオアシス

人は

ささやかなオアシスを求め

ささくれた荒野を歩く

リズムを刻みながら
リズムを刻みながら

地上三センチの浮遊

2017-05-23 17:18:47 | エッセイ

「枠の外にあるもの」

世界は、いろんな枠に囲われています。細分化されたり、統合されたり。いがみあったり協調したり。それは、強固なようで、移ろいやすいものです。

私達は、様々な枠に所属しています。それに庇護されたり、束縛されたりしながら、日々を過ごしています。

人は、無秩序には生きてはいけません。(どんなに孤独でも、どんなにアウトローでも、「孤独」や「アウトロー」のカテゴリーに所属しているのです。その中でのルールや作法というものが、存在しているのです。)枠におさまることで、安心感を得られるのでしょう。もちろん、その中での拘束感も同時に感じるのでしょうが。

枠の中にいるということを、意識することは大切だと思います。枠があると感じなければ、自分がいる場所がすべてだと勘違いしてしまいます。自分のフィールド以外は、不正義だと糾弾してしまいます。

「枠」を知ってはじめて、「枠」の外があり、別の「枠」があると認識できるのでしょう。

そして、

枠の外があるということは、自分が想像できない考え方や、ルールも存在するということです。

それが、目からウロコのこともあるだろうし、受け入れられないこともあるでしょう。

ただ、世界はたくさんの枠が、存在すると考えることは大切だと思います。

自分が正義なのではないと考えること。枠の外にあるものに思いをはせること。

違う枠のいろんな人々が、それをすることができたなら、世界は、もっと自由でありながら、共存できるような気がします。

けれどそれは、

今の世界では、それこそ「ユートピア」のおとぎ話です。

私自身、自分の所属する枠に囚われて、そんな自由の翼を持てずにいます。

美しい空

2017-05-20 22:38:50 | 
皐月のまばゆい光
喜びに満ち溢れた光

タンポポの綿毛は揺れる
母猫は子猫を咥えて歩く

光の溶けた風が吹き渡る
光の溶けた海がたゆたう

小鳩のつがいは巣を作る
露地の苺は赤く色づく

記憶の底にある秘密の花園
初夏になると咲く小さな薔薇
片隅にひっそりと咲く

大輪ではないゆえに
その愛らしさが際立つ

その可憐さの奥に蓄えた
甘い甘い蜜の罠

薔薇の香りは鮮やかに
記憶の底から蘇る

美しい空
美しい世界

皐月の光が描くのは

きらきらとさんざめく

生の営み














濡れた月

2017-05-11 19:48:39 | 

まだ夜ははじまったばかり

輝くネオンは不夜城

低空飛行をするように

赤く濡れた月が浮かぶ

星は見えない

下界は明るすぎる

目覚めた

夜の道化師たちが

踊り

さんざめき

ビールの泡を撒き散らす

たくさんのウソと
ちょっとのホント
混ぜ合わせた夜のカクテル

たくさんの意地悪と
ちょっとの愛撫
混ぜ合わせた夜のカクテル

それは

深い深い

ミッドナイトブルー

赤く濡れた月は

天上にのぼる

不穏なベースラインと共に












黒衣を身に纏ったとしても

2017-05-07 19:37:42 | 
なぜこんなに苦しいのだろう

黒衣を身に纏っても

それでも

穢れていると疎まれる

足を開くなと
足を縛られながら

夜になると

無理矢理
足を開かれる

何をしても
何を見ても

罵られ
殴られる

気まぐれで

美しく

飾られたりもするが

切り花と同じ

萎れたら

捨てられる

陶器と同じ

飽きたら

壊される

財産である
家畜である

はっきり言って

「物」である

現在

自分が立つ場所では

多分

「私」

であるけれど

それでも

苦しいのはなぜだろう

首輪はないけど

鎖はあって

それを

甘んじて受けている

「私」だからか?

鎖はあっても

首輪はなくて

それを

ありがたがらない

「私」だからか?

違うだろう

黒衣が全てではない

それを

手放すのも
手放さないのも

選ぶことができれば

私もあなたも

楽になることができるだろう