「最初この部屋に入った時、変な部屋やなと思ってん。なんか、家族が自分の好きなものを置いたみたいな感じ。ばらばらな好みを詰め込んでるなって。でも不思議なんだけど、ずっといてたら、落ち着くねん。多分、めちゃくちゃのようでも、ちゃんとバランスがとれてるんやろうな。うまく説明できへんけど。」
明日香は笑顔になる。うれしそうだ。
「ありがとう。」
翔太は照れくさくなる。頭をかきながら、ぼそぼそ言う。
「そんな礼を言われるほど、たいしたこと言ってないし。」
「そんなことない。うれしかった。」
明日香は優しく微笑む。彼女の目は笑うと三日月形になった。翔太はその三日月形の目がとてもかわいいと思った。そう思うと、急に彼は落ち着かなくなった。動悸がして、脈拍が速くなって、顔に血が上った。それをごまかすために、翔太は話を変える。
「で、なんで俺を叩き起こしたん。」
「田中さ、あたしが捕ってきたみみずをほとんど逃がしちゃったでしょ。」
明日香はにやっと笑う。
「だから、おとしまえつけてもらおうと思って。」
翔太はちょっとびびる。
「おとしまえてなんやねん。」
「みみずを一緒に捕りに行ってもらう。」
たいしたことではなかったので、翔太はほっとする。
「なんや、そんなことか。どこで捕るん。」
「近所に川があるねん。そこの土手で捕るつもり。」
「了解。」
「ちょっと用意するから、先に玄関出てて。」
「わかった。」
翔太は先に玄関を出る。ドアの横のコンクリートの壁にもたれる。背中にざらついた質感とひんやりした感触が伝わる。ぼんやりと空を見上げる。雲はなくなっていた。抜けるような青空。
「お待たせ。」
明日香が玄関から出てきた。ドアの鍵を閉める。彼女は黄色いバケツを持っていた。そこには2本、スコップが入っていた。そして、青い水筒を斜めがけにしていた。彼女は言う。
「じゃ、行こっか。」
2人は外に出る。強い日差し。太陽はほぼ空のてっぺんで輝いていた。頭にまともに日差しが突き刺さる。どこからか、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。
明日香は笑顔になる。うれしそうだ。
「ありがとう。」
翔太は照れくさくなる。頭をかきながら、ぼそぼそ言う。
「そんな礼を言われるほど、たいしたこと言ってないし。」
「そんなことない。うれしかった。」
明日香は優しく微笑む。彼女の目は笑うと三日月形になった。翔太はその三日月形の目がとてもかわいいと思った。そう思うと、急に彼は落ち着かなくなった。動悸がして、脈拍が速くなって、顔に血が上った。それをごまかすために、翔太は話を変える。
「で、なんで俺を叩き起こしたん。」
「田中さ、あたしが捕ってきたみみずをほとんど逃がしちゃったでしょ。」
明日香はにやっと笑う。
「だから、おとしまえつけてもらおうと思って。」
翔太はちょっとびびる。
「おとしまえてなんやねん。」
「みみずを一緒に捕りに行ってもらう。」
たいしたことではなかったので、翔太はほっとする。
「なんや、そんなことか。どこで捕るん。」
「近所に川があるねん。そこの土手で捕るつもり。」
「了解。」
「ちょっと用意するから、先に玄関出てて。」
「わかった。」
翔太は先に玄関を出る。ドアの横のコンクリートの壁にもたれる。背中にざらついた質感とひんやりした感触が伝わる。ぼんやりと空を見上げる。雲はなくなっていた。抜けるような青空。
「お待たせ。」
明日香が玄関から出てきた。ドアの鍵を閉める。彼女は黄色いバケツを持っていた。そこには2本、スコップが入っていた。そして、青い水筒を斜めがけにしていた。彼女は言う。
「じゃ、行こっか。」
2人は外に出る。強い日差し。太陽はほぼ空のてっぺんで輝いていた。頭にまともに日差しが突き刺さる。どこからか、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。