天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

ビー玉きらり

2021-08-31 20:28:00 | 

日差しは眩い

けれど

風はふわふわと漂う

秋の風


蝉の夏と

蜻蛉の秋が

クロスする


波に消えたビーチサンダル

またね

またね

と手を振る幼い子


あれは昔の自分じゃないか?


太鼓の音すら聞こえない

寂しい時世


それでも


夏はやってきて


そして


秋を連れてくる


ラムネのビー玉は

きらり


どうしても欲しかった

宝物


どうしても取れなかった

宝物


だからかな


今でも


ラムネのビー玉は

きらり


胸にことりと

落ちていく



inspired by 「夏が終わる」スピッツ



甘露

2021-08-20 14:16:00 | 

悲しい時にはお酒は飲まない

苦しい時にはお酒は飲まない

寂しい時にはお酒は飲まない


それは


人間であるための

私のひとつの矜持


弱くて

脆い


私だから


慰めのためにお酒は飲まない

逃げのためのお酒は飲まない


負の感情にお酒は毒だ


これは


ささやかな私の抵抗


お酒で人間性を奪われた

近しい人たち


知っているから

知っているもの


お酒が悪いわけじゃない

人が悪いわけじゃない


でも


その組み合わせが最悪すぎた


お酒はお酒のまま


甘露として愉しみたいのさ


借景の桜を観ながら

ひとりゆらゆらと飲み


気のおけない酒場で

親しい人とつらつらと飲み


お酒の香りを味わい

人との話を味わい

風の爽やかさを味わい


甘露

甘露


どこかの水墨画の中で


ほろほろと飲むがごとくに




出来事・断片・情報・方向

2021-08-08 07:36:00 | 

たくさんの情報が飛び交う

玉石混交

真贋も清濁も浮遊する

跳梁跋扈


同じ出来事も

見る方向によって違うものになる

立場によって違うものになる

切断面によって違うものになる


弱者と強者

勝者と敗者

陰と陽

朝と夜


全然違うものとなるだろう


複雑怪奇で

魑魅魍魎


膨大で莫大な情報のうねりに

飲み込まれる


それでも


もがいてでも

方向を決めなければならない


それには


自分が知りうるのは断片で

自分は知らないことが大半だ

と知覚する謙虚さと


自分とは違う見方があるということ

自分が知らないことを知ろうとすること

を意識する理性が

必要ではないだろうか


イメージとムードに流されず

足に地をつけて考える

それが

本当の意味での知性ではないか


情報を精査するのは難しい

知識を噛み砕いて自分のものにするのは苦しい

けれど

今それをしなければ


愚鈍に侵されて

大きな間違いの片棒を担ぐことに

なるような気がしてならない


わかりやすい言葉や

感情に訴えるやり方


その向こうで


衆愚を操るのは簡単と

ほくそ笑む


アジテーターや

デマゴーグに


屈してはならない