天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

終わりの始まり

2011-12-31 09:03:57 | 日記
とうとうこの日がやってきた
さよなら、ごきげんよう
そんな日

一日では抱えきれない
あれやこれやに追いまくられて
途方にくれる

それで一日が終わる
毎年それを繰り返してる

心が寂しいようなわくわくするような
定まらない気持ち
不思議な一日

まっさらな明日を迎えられるように
今日できることをやっておこう
やり残した多くのことにため息をつく前に

そう決めて立ち上がる
そんな日

糸の巣の真ん中で

2011-12-30 19:58:01 | 日記
八角形の巣の真ん中で
白い糸の巣の真ん中で
蜘蛛は静かに待っている

精妙に編まれた蜘蛛の糸
清廉な朝日を浴びて
しらしらと光っている

蜘蛛は巣を作り終えるまでは
せっせせっせと
上に行き下に行き
糸を紡ぎ出していたのに
作り終えた途端に
動かなくなってしまった

息をひそめて
獲物を待つ

それはあてのないこと
それははてしない時間

自分が干からびるのが先か
獲物が引っかかるのが先か

長い足を広げ
黄色と黒の胴体をてからせ
蜘蛛はその瞬間を
待っている


蝕む

2011-12-29 08:24:22 | 日記
僕の体に棲むものは
簡単に僕を蝕むだろう
僕を紙屑にも ゴキブリにも ヘドロにも
変えていく
愛さえも僕の腐敗を止めやしない

僕の心が飼うものは
すべてを無にかえすだろう
僕の右脳だって 肝臓だって 骨髄だって
なくなってしまう
理性さえも侵食されてしまうだろう

ドロドロになった僕の肉体
空っぽになった僕の感情
臭くて 汚くて 水っぽい
それでもやっぱり増殖はして
すべてのものを溶かしていく

ループ

2011-12-28 12:10:41 | 日記
また元に戻った
重い荷物を下ろす
荷物を蹴飛ばす
足を痛めただけ
イライラと頭をふる
クラクラ目眩がしただけ
そこに座り込む
コンパスも地図もない
太陽も星も月もない
自分の場所を確認するすべがない
それでも重い荷物を持って
歩き続けなければならない

この果てなき世界を
彷徨わなければならないのなら

この重たい荷物を
背負わなければならないのなら

せめて
同じところをぐるぐるまわらせるのは
やめてくれ

なにものか知らぬ大きな力に叫ぶ





柔らかい鎖

2011-12-28 09:56:57 | 日記
幼虫の頃
あたしは傷つかないように
暖かいブランケットに包まれていた
ふわふわした優しい手に撫でられ
甘い蔤を与えられ
繭の中でうずくまっていた
「かわいい子、あなたは私のすべて。
私はあなたと共に生きるのよ。」
どこからか聞こえる柔らかい声
子守唄がわり
桃源郷 オアシス ユートピア

だけど
ある日突然
その生ぬるい暖かさに耐えられなくなる
どこからか漂う微かな腐臭に気付いてしまう
あたしはその繭の中をドスドス歩き
ここから出してと声限りに叫ぶ
あたしはここに同化するのが怖かった
どこからか声が聞こえた
「かわいい子、外は恐ろしい。あなたみたいな
か弱い子はすぐに壊れてしまう。それでも出るの。
私を置いて。こんなに愛した私を捨てるの。」
甘い声に含まれた毒
あたしは身動きができなかった

そして今
あたしの羽はさびつき あたしの体は腐ってしまった