天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

如月の終わり

2017-02-27 20:03:51 | 
寒い朝

肩をこごめて歩いていた

ふと空を見上げれば

光に満ちていた

いつのまに

夜明けがこんなに

早くなったのだろう

薔薇色の空に包まれ

季節のターンに

ただ

驚きを覚える

寒さは

まだ続くだろう

三寒四温の

揺り戻し

一喜一憂の

日々

けれど

気が付けば

暖かな日差しに

目を細めるようになるのだろう






この世に殺すべきほどの魔女はいない

2017-02-23 20:12:58 | 

絶えることのない
魔女狩り

古今東西
ずっとずっと
行われている

闇に紛れて
血にまみれて

泣き叫ぶのは
生贄の女性

多勢に無勢

正義の仮面をかぶった
残酷な気晴らし

不満を弱い者にぶつける
悪辣な卑怯者

ただそれだけ
ただそれだけ

「魔女」は
群れをなして拷問なぞしない

「魔女」は
閉ざされた場所で拷問なぞしない

血を流すものを
足蹴にする快楽

怯えるものを
絶望に落とす快楽

悪と戦うという
英雄伝をなぞる快楽

無知と迷信
不満と暴力
入り混じった爆発

血の味は無上の快楽
蹂躙は無上の快楽

もう止まらない
もう止まらない

正義を振りかざす剣
剣が血にぬれるのは名誉

正しいことは
力を持って行う

悪は
血を持って贖う

魔女はどれほどのことをしたのか

どんな時代も
どんな場所でも

魔女が世界を破滅に導いたことはない
魔女が世界を暗黒に導いたことはない

この世に殺すべきほどの魔女はいない
いやしない











頭を上げて

2017-02-21 17:55:40 | 
頭を上げて

私は戦う

それは

力でというわけではない

強烈な

自己否定が

どこからくるのか

探す

旅に出るということ

そして

自己を否定することで

楽をしていた

部分を

鍛え直す

ということ

長い間

自分を愛せなかった

(今でも愛してるとは言い難い)

自分で自分を傷つけて

それを

どこかで

免罪符にしていた

それは

違う

はっきりと

浮かび上がる

思い

誇りを踏みにじられたなら

それを

見つめたらいい

それに

怒りを感じていいのだ

きちんと

理不尽なことは理不尽だと

叫んでいいのだ

蓋をしすぎて

腐り果てた

ドロドロの

否定感や敗北感は

捨ててしまおう

私は私

そこからは

逃れられない

違う人間には

なれない

なれないことに

絶望するのは

もう嫌だ

顔を上げて

私は戦う

年老いているけれど

遅すぎることはない












ゴルゴーン

2017-02-18 20:45:57 | 

私は女
私は醜い

蛇の髪を持つ
黄金の翼を持つ
青銅の手を持つ
馬の下半身を持つ

私は女
私は化け物

私の目を見た者は
石になる

私はそれを望んではいなかった

けれど

私を見た者は
私のあまりにも醜い容姿に
恐れをなして
血が凍りついてしまう
石になってしまう

私はそれを望んでいなかった

最初は

石になった者を
哀れみ
悼み
涙を流していた

石にしてしまったことを
苦しみ
悲しみ
涙を流していた

涙は
石になった者に
落ちた

石になった者は
人間に戻り
こけつまろびつ
逃げていった

誰も私を愛でることはない
誰も私に触れることはない

私は
自分が呪われた化け物であることを
自分が恐ろしい化け物であることを

憎んだ

その憎しみは

じょじょに

私の心を蝕んでいった
私の心を腐らしていった

ある日のこと

私は川で水浴びをしていた

えもいわれぬ笛の音

そっと振り返れば

岸辺で
美しい少年が葦の笛を
吹いていた

柔らかな麦の色の髪
爽やかな草の色の瞳
鮮やかな薔薇色の唇

白く長い指が
笛を自在に操っていた

私は彼に見惚れていた

彼は笛を吹くのを止めた
彼は顔を上げた
彼は私と目があった

彼の顔が恐怖に歪む
そして
そのまま石になった

私は彼の元に近寄った
彼は恐怖の表情のまま
けれど
美しさにかわりはなかった

私の心はささやいた

「涙を流したとしても

彼が人間に戻ったとしても

彼が私を愛することはない

彼は私を化け物としかみない

それならば

このままで

彼を愛でることにしよう」

私の獰猛な唇に笑みが浮かぶ

私は彼の頬に触れた
私は彼の唇を奪った

私はもう涙を流すことはないだろう

私は醜い
私は化け物
私は女






















地獄で会いましょう

2017-02-15 19:57:59 | 
ふふふと笑う
ふてきに笑う

だって

女は不浄で救われないのでしょう

喧嘩上等

いい子ちゃんでいても
都合よく社会を支えても

それは

当然て顔されてもね

喧嘩上等

いい加減に
だらしなく

生きていくわ

喧嘩上等

ダーリン

地獄で会いましょう