天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

夜に鳴く蝉

2015-08-22 21:12:13 | ショート ショート
うとうととまどろんでいたら、ジー

ジーと鳴く蝉で目が覚めた。闇に響く

蝉の声。少しぞっとする。いつから夜

中に蝉が鳴くようになったのだろう。

寝汗を吸ったTシャツを脱ぎ捨てる。

上半身裸のままベッドで足を抱えこ

み、蝉の声を聞く。昼間ほどたくさん

の蝉が鳴くわけではないので、さほど

やかましくはない。ただ、もの寂しさ

だけが胸にせまる。闇の中で鳴く声

は、蝉の命そのものだ。命の蝋燭の揺

らぎを目の当たりにしているような気

がした。夜中にセレナーデを奏でて

も、それに応える相手はいるのかと疑

問に思ったが、ライバルは少ないかも

しれないと思い直した。

不意に風が入ってきた。熱帯夜が続い

ていたが、この風は涼しかった。着替

えのTシャツを手探りで探し、慌ててか

ぶる。秋は確実にやってきている。夏

の終わり。蝉の鳴き声も秋虫の鳴き声

にいつのまにか変わるのだろう。

蝉の鳴き声がやんだ。ベッドに体を

横たえた。眠りの雲に身を委ねる。ま

だ夜は続くはずだ。


ナイトライフ

2015-08-22 18:48:40 | 
コロナビールにライムを入れて
ぐっとひと息

グリーンの瓶にグリーンのライム
夜の照明に輝く

ベース音が響くよ
ハートが重低音に刻む

瓶を持って
リズムにのって
金色の泡が立つのが最高

リップは濃いめに
マスカラは強めに

コロンの霧をくぐって
視線のシャワーを浴びて

フロアで踊る

髪を揺らして
腰を揺らして

フロアで踊る

夜のスパーク
夜のパレード

胸元にはラメ
背中にはキス

ミラーボールのキラキラは
夜だけのもの




叫べども叫べども

2015-08-20 18:50:36 | 
どんなに叫んでも
耳を塞がれては
届かない

どんなに叫んでも
騒音だと思われては
届かない

叫べども叫べども
届かなければ
意味がない

叫びと咆哮は違う

叫びは人のもの

咆哮は獣のもの

叫びは
人として扱われなければ
理解してもらえない

けれど

不思議なことに

人が人として認められることは

まれで

叫び声は

なかったことにされてしまう

(獣の咆哮のほうが

かえって

気に留められるかもしれないの

だ!)











愛し合うことは罪ではない

2015-08-19 09:50:15 | 
愛し合うことは罪ではない
それがどんな形であれ

互いが互いに愛し合っているならば
形はどうあれ
罪ではない

世界は
愛と言う言葉がとびかっている

けれど

愛という名で
どれだけのものが
歪められているのだろう

愛という名は
どれだけのものに
値しているのだろう

愛という形で
どれだけのものが
蓋をされているのだろう

愛という形で
どれだけのものが
楔をうたれているのだろう

愛し合うことは罪ではない
それがどんな形であれ

それを

どんな時でも

覚えておこう

愛という美名で

誰かを裁くことがないように






夏の終わり

2015-08-19 05:13:06 | 
雨が降る
夏の終わり

めまいのする暑さ
痛いなような日差し

きらめく海
こだます蝉

まばゆい空
みじかい影

はじけるソーダ
まどろむシエスタ

もうすぐ過ぎ去る

雨が降る
夏の終わり

雨音を聞く
夏の終わり