うとうととまどろんでいたら、ジー
ジーと鳴く蝉で目が覚めた。闇に響く
蝉の声。少しぞっとする。いつから夜
中に蝉が鳴くようになったのだろう。
寝汗を吸ったTシャツを脱ぎ捨てる。
上半身裸のままベッドで足を抱えこ
み、蝉の声を聞く。昼間ほどたくさん
の蝉が鳴くわけではないので、さほど
やかましくはない。ただ、もの寂しさ
だけが胸にせまる。闇の中で鳴く声
は、蝉の命そのものだ。命の蝋燭の揺
らぎを目の当たりにしているような気
がした。夜中にセレナーデを奏でて
も、それに応える相手はいるのかと疑
問に思ったが、ライバルは少ないかも
しれないと思い直した。
不意に風が入ってきた。熱帯夜が続い
ていたが、この風は涼しかった。着替
えのTシャツを手探りで探し、慌ててか
ぶる。秋は確実にやってきている。夏
の終わり。蝉の鳴き声も秋虫の鳴き声
にいつのまにか変わるのだろう。
蝉の鳴き声がやんだ。ベッドに体を
横たえた。眠りの雲に身を委ねる。ま
だ夜は続くはずだ。
ジーと鳴く蝉で目が覚めた。闇に響く
蝉の声。少しぞっとする。いつから夜
中に蝉が鳴くようになったのだろう。
寝汗を吸ったTシャツを脱ぎ捨てる。
上半身裸のままベッドで足を抱えこ
み、蝉の声を聞く。昼間ほどたくさん
の蝉が鳴くわけではないので、さほど
やかましくはない。ただ、もの寂しさ
だけが胸にせまる。闇の中で鳴く声
は、蝉の命そのものだ。命の蝋燭の揺
らぎを目の当たりにしているような気
がした。夜中にセレナーデを奏でて
も、それに応える相手はいるのかと疑
問に思ったが、ライバルは少ないかも
しれないと思い直した。
不意に風が入ってきた。熱帯夜が続い
ていたが、この風は涼しかった。着替
えのTシャツを手探りで探し、慌ててか
ぶる。秋は確実にやってきている。夏
の終わり。蝉の鳴き声も秋虫の鳴き声
にいつのまにか変わるのだろう。
蝉の鳴き声がやんだ。ベッドに体を
横たえた。眠りの雲に身を委ねる。ま
だ夜は続くはずだ。