天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

詞があふれる夜

2015-05-26 21:23:20 | 
音楽は聞きたくない
映像は観たくない

そんな夜

ひとりだけれど
孤独ではない

そんな夜

窓を開ける

黒の世界

ぽつんと浮かぶ

雲母のかけら

静の世界

ふいに浮かぶ

子猫の鳴き声

どこからか

足音が聞こえる

どこからか

扉の音が聞こえる

夜のゼンマイが

精巧に

作られる

夜のレースが

精緻に

編まれる

あまりにもなめらかに

時の糸が紡がれる

そんな夜

詞があふれる

泉のごとく

詞があふれる









不安を編む

2015-05-16 18:45:47 | 
眠れないから不安になるのか
不安になるから眠れないのか

夜と不眠と不安は仲良しだ

何も見えなくて
手ごたえがなくて
何もできない

心と体はもがくけど
無意味なあがき

ただくたびれて
目だけが爛々と見開いている

カラカラ
カラカラ
回し続ける

ネズミの輪回し

夜は長い

何もしなければ

夜は果てしなく長い

不安は深い

何も動かなければ

不安は恐ろしく深い

眠れぬ夜は

延々と
延々と

不安を編み続ける

何も生み出さない

不毛地帯


お散歩さんさん

2015-05-03 22:06:07 | 
懐中時計を持たない散歩
チョッキを着ない散歩
ぴょんぴょん跳び回らない散歩

なんて楽しい
なんてうれしい

薄曇り
もうすぐ雨になるだろう

それまで

ふわふわ
ほろほろ

そぞろ歩く

太陽に
うっすら傘がかかっている

五月の風は
妖精のさざめき

その声を拾い集めれば
空を飛べるだろう

アヤメが
しゃんと背筋を伸ばし
凛々しく咲いている

空模様を確認し
時間をはかり

ふわふわ
ほろほろ

そぞろ歩く