天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

地上三センチの浮遊

2014-04-24 19:26:29 | エッセイ
「歩くスピードで」

美しい季節です。光がきらめき、淡い
青空が広がっています。道ばたには黄
色や瑠璃色、淡紫に黄緑。さまざまな
色の草花が目を楽しませてくれます。
もう少しすれば、紗のような羽を持つ蝶々たちもひらひらと飛びだすでしょう。(キアゲハは気難しく、人間の近くには寄ってきませんが、カラスアゲハは懐っこく、手が届くような近くをふわふわと飛びまわる…ような気がします。)柔らかな春のひざしは心と体をあたためます。外に出て、のびをしたくなる季節です。

私は歩くことが好きです。頭を空っぽにして、心だけが世界を感じている。自分の力以上にはスピードがでません。ゆっくりゆっくり、マイペースで
歩くことは、とても幸福なことです。そして、あることに気付くのです。

「私は今の世の中のスピードについていくのがつらい。そのスピード自体が重荷なのだ。」

ゆっくりなんて言ってられない世界。たくさんの物事、情報を瞬時に判断し、優先順位をつけなければいけない世界。優秀さと強靭さを求められる世界。そしてそれは日々刻々と強まっていっているのです。

私はスピードに振り回され、振り落とされないように必死にしがみつくちっぽけな虫けらなのです。

それは卑下でも露悪でもなくそうなのです。

その世界と対峙する虫けらはどう身を処していけばよいのでしょう。

それを考え、実践していくのが私の生きる道なのでしょう。

そんなことをつらつらと考えていたある春の日でありました。

歩くスピードで生きることができればこんな幸せなことはないのですが、そのスピードではついていけないのであれば、どうすればよいのか。

まだ答えが出ないのです。

しるし

2014-04-21 19:16:40 | 
白い光に包まれて
うっとりと目覚める朝

人知れず場所についた
密かなしるし

それを
愛しく思うか
厭わしく思うかは

つけられた人の
想いによる

震えるぐらいの歓喜か
震えるぐらいの嫌悪か

同じ人につけられた
同じ場所につけられた
しるしなのに

心は流れゆく
体は変わりゆく

それはそういうもの

だけれど

受け容れがたいもの

断ち切られた想い
生まれる黒い蛇

黒い蛇は

自らの中にとぐろを巻くのか
相手に牙を剥くのか

どちらも苦しい
どちらも哀しい

人知れず場所についた
密かなしるし

今は
なにも考えないで

甘いしるしに
キスをする