天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

地上三センチの浮遊

2015-04-30 18:58:04 | エッセイ
「本当は」

雨の多い春でした。肌寒い日が続きました。それでも、いつのまにか野花は咲いているのです。なかなか暖かくならないとふてくされているうちに、春は明るい笑顔で私たちの隣に座っています。きちんと巡る宇宙の不思議。人知の及ぶところではありません。私は特に今の季節に、大いなる世界を感じます。生命に満ちたこの宇宙にひれ伏してしまいます。ひれ伏すということは、委ねるということです。それは、余分な力を抜き、素直になることです。

そして今、きららかな初夏がやってきました。日ごとに強くなる日差し。日ごとに輝く海の色。白鷺が逢引を重ね、燕が巣を作ります。日々の色が鮮やかになっていきます。生命は大きなタイムスケジュールに沿って動いていきます。人間は…?人間はどうなのでしょう。抗っているけれど、結局はそのタイムスケジュールにのみこまれているのかもしれません。

人間は、「万物の霊長」だなんて気どっているけれど、宇宙の理に組みこまれたピースの一つ。

それに気付くことのできる季節です。

半分の月

2015-04-26 19:52:58 | 
天空の真ん中に
おっとりと浮かぶ半月

片翼がない比翼の鳥
片枝がない連理の枝

半月は自分の半身を
探している

半月は片身の自分に
戸惑っている

お待ちなさい
お待ちなさい

潮が満ちます
潮が満ちます

ゆっくりと
ゆっくりと

時が満ちます
時が満ちます

少しずつ
少しずつ

光が満ちます
光が満ちます

そして

満たされた
まあるい月になるでしょう



三日月夜

2015-04-22 20:46:24 | 
濃紺のびろうどに
ぶらさがる三日月

死神の鎌のように
銀色に冴えわたる

天使の矢のように
金色に煌めいてる

夜の静謐さ
夜の乱痴気

夜の賢者
夜の道化

夜の内省
夜の冒険

動と静
裏と表
ハレとケ
聖と俗

拮抗し
ねじれ
まじり
葛藤し

夜の軸は
揺れ動く

三日月は

引き裂かれた
夜の鍵






















水色の夕方

2015-04-22 18:28:36 | 
いつのまにか
光に満ちた夕方に

いつのまにか
水色に満ちた夕方に

ひやっとした空気に
首をすくめた夕方に
お別れを告げた

きららかな
あざやかな
夕方のシンフォニー

空が薔薇色に染まる頃

あなたはなにをしているだろう

わたしは同じ色に染まる

海の香をかいでいる

水色の空
薔薇色の海

さかいめには
船がはしっている



春の咆哮

2015-04-20 10:54:43 | 
雨が唸っている
風が荒んでいる

木がたわんでいる
草が震えている

救急車がサイレンを鳴らし
拡声器が街頭演説を流している

そんな不穏な月曜日

それに巻きこまれず
それに揺らされず

穏やかでいたいのだけれど

顔をしかめ
いらいらと
頭をかきむしる

そんな不快な月曜日

春の咆哮
春の憂鬱