まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

百日紅も咲いたよ

2018年07月26日 | 日記

ふと見上げれば・・・
サルスベリの花が盛大に咲いていました。
百日紅と書いてサルスベリ。
秋にかけて百日間にもわたって咲き続けるそうです。

高さ10メートル近くもある大木です。
猿が登ろうとしてもツルツルと滑ることからサルスベリ。
実際、その樹皮は一皮剥けたようにスベスベで
ちょっと女性の肌〈?〉を思わせます。
この年になるまで一皮も剥けぬままで来たオジサンには
羨ましい限りです。

  炎天の 地上に花あり 百日紅 〈虚子〉

とにかく夏の花というイメージが強いです。
炎天下にこの花が咲いていると汗が三倍は吹き出します。
燃えるようなピンクが一般的ですが
中には白いサルスベリもあってこれは見るからに涼しげです。

  散れば咲き 散れば咲きして 百日紅

これは誰の作か忘れました。
百日紅は一度散った枝先から、再び芽を出して花を咲かせることから
咲き続けているように見えるんですね。

百日紅と言えば杉浦日向子を思い出しますね。
葛飾北斎とその娘お栄の日常を描いた傑作漫画ですが
当時の浮世絵師の暮らしぶりと
江戸風俗のディテールが本当によく描かれていて
杉浦日向子という女性の才能を思わせます。
こう猛暑が続くと百日紅のピンクを見るとげんなりしますが
昨日は久しぶりに熱帯夜から解放されて
今朝は睡眠十分で快調です。
こんな日が続くといいのですが、そうは問屋がサルスベリでしょうか。


こころの水やり

2018年07月25日 | 日記

夏空満開です。
ひまわり満開です。
ついでに夏バテも満開です。
今日も命にかかわる暑さでしょうか。

野菜畑の真ん中でホースを満開にして
豪快に水まきをしているオジサンがいました。
ほとばしる水しぶきを見ながら
ああ、このあたりでザーッと一雨欲しいものだなあなどと
隠居ジイサンのようなことを呟いてしまいました。
41度などという気温計を見ると
もうそれだけで卒倒してしまいそうですねえ。

こう暑い日が続くと
体も心もパサパサに乾燥して干からびてしまっています。
そんなことを考えていたら・・・
茨木のり子さんに怒鳴られてしまいました。

  ぱさぱさに乾いてゆく心を
  ひとのせいにはするな
  みずから水やりを怠っておいて

ハイ、おっしゃる通りです。
近頃は「暑い、暑い!」とボヤくばっかりで
肝心の水やりを忘れていました。
パサパサに乾ききった日盛りの地面に
サッーと打ち水をすると生き返った心地がしますよね。
まさに「慈雨」という感じがします。

週末は雨の予報とか。
やれやれ嬉しや、雨の中を素っ裸で走り回りたいです。

 


戦いに病み飢えし子ら

2018年07月24日 | 日記

昼休みに新聞をパラパラと斜め読みをしていたら
一枚の写真に頭をガツンとやられた。
臓腑をグサリとえぐられるような強烈な写真だった。

南スーダンの難民キャンプの子供である。
栄養失調に苦しむジョージ・マルティクちゃん〈3〉は
もはや目の前のハエを追う体力さえももない。
南スーダンと言えばアフリカの果ての縁のない小国と思いがちだが
ついこの間まで自衛隊が国連のPKO活動に参加していた
日本とは関わりの深い遠くて近い国である。
ひび割れた灼熱の大地に容赦なく太陽が照りつけ
飢えと戦いに苦しむ420万人もの難民がキャンプで暮らす。
反政府勢力とのドロ沼の内戦が続き
食料や医薬品の供給が途絶えて次々と餓死者が増えている。
誰もが目を背けがちの光景だが
飢えも戦いもまぎれもない地球上の現実である。
何年か前に朝日歌壇に掲載された女子高生の歌を思い出す。

   戦いに 飢え病みし子らが画面にいる

   せめて酒杯を 置きたまえ父よ

そんな厳しいことを言ってくれる娘を待たぬ父は
毎日、ビールをかっ食らって高イビキで情けない限りである。
石垣りんさんのエッセイに登場する中桐雅夫の詩に
怠惰な心をどやしつけられる。

   戦いと飢えで死ぬ人がいる間は

   おれは絶対に風雅の道を道をゆかぬ

土用の丑の日に平気でウナギを食っている自分が恥ずかしい。
まあまあ、そういう短絡的な問題ではないよ
という声も聞こえてくるが、じゃあ、どういう問題なんだ!
と思わず声を荒げてしまうオジサンである。
一枚の写真に衝撃を受ける日もある。

 


夏景色三題

2018年07月23日 | 日記

夏休みが始まりました。
公園に子供たちの歓声が響き渡ります。
どこから聞こえて来るのか声のする方向を探すと・・・

公園の水路で水浴び中の子供たちです。
公園にもプールはありますが
お金のいらないプールが子供たちには大人気です。
でも、消毒していない水は衛生的にはどうなんでしょうか。
こうやって水着姿にカメラを向けると
すぐに非難の目で見られる時代になって来ました。
あのう、この水場は水泳禁止の立て札があるんですけど・・・

スーパーの入口にミスト登場!
見るからに涼し気で一瞬汗がひくような心地ですが
とてもミストで対応できるような暑さではありませんねえ。
ましてたった一機では単なる気休めです。
どうせならミスト100台まとめて持ってこい!
とは言いませんでしたが・・・

カブトムシ見つけました!
コナラの木の下を何気なく覗いたら
夏バテでもしたようにヨタヨタと歩いていました。
ちょうど虫かごを抱えた小学生たちが
セミ捕りをしていたので気前よく進呈しました。
今年の夏の「初カブト」です。
絵日記には「カブトゲット!」と書いておこう。

 


橋本忍さん逝く

2018年07月22日 | 日記

訃報が相次ぐ。
演出家の浅利慶太氏に続いて
脚本家の橋本忍さんが亡くなられたと言う。
私が最も尊敬する脚本家だった。

脚本家は裏方の仕事だから
その名前を聞いてもご存じない方も多いかも知れない。
黒沢映画の全盛期を支えた脚本家だった。
サラリーマン時代に初めて書いた「羅生門」が
ヴェネツィア映画祭のグランプリに輝いたのは有名な話だ。
以来、「生きる」「七人の侍」「どですかでん」と
キラ星のごとき名作がズラリとならぶ。
黒澤明が世界一の映画監督なら世界一の脚本家ということになる。
そのくらい偉大な脚本家だった。
そうそう、日本の戦争責任を真正面から問いかけた
テレビドキュメンタリー「私は貝になりたい」も橋本さんの脚本だった。
いわゆる社会派の作風ではあったが
綿密な構成に支えられた骨太な展開力があって
娯楽性豊かなヒットメーカーだった。
私がこの業界に入った頃からもう雲の上の存在で
一面識もないがずっと尊敬し続けて来た。

数ある橋本脚本の作品の中でも
やはり一番のインパクトを感じたのは「砂の器」だろうか。
世界的な天才ピアニスト和賀英良の
宿命とも言うべき暗い過去〈父親がハンセン氏病患者〉を追いながら
犯人捜しというサスペンス映画の醍醐味を
大胆な構成と演出で描く清張作品の中でも出色の名作だろうか。
原作の松本清張自ら「小説をはるかに越えている」と
絶賛したいわくつきの作品である。

脚本は橋本忍と山田洋次である。
当初、共同執筆を依頼された山田洋次は
膨大な原作を読んで「映画化は無理」と断ったそうだが
粘り強い説得と様々なヒントを与えながら
橋本忍は素晴らしい脚本に仕上げた。
それは原作に書かれていない部分をドラマにするという力業であった。
和賀英良がコンサートで初めて自作の組曲を演奏するシーンと
過去の父親との放浪生活を回想するシーンが
捜査本部が和賀逮捕を決める場面と見事なカットバックで重なり
何度見ても息づまるようなクライマックスであった。
犯人役の和賀英良を演じた加藤剛さんもつい先日亡くなられて
よけいに思い出深い映画になった。

齢100歳という年齢は
めでたいとも言える長寿ではあるけれど
次回作にまだまだ意欲を燃やしておられたと聞けば
やはり残念でならない。