まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

チョコレートドーナツ

2018年06月20日 | 日記

夜中に何度も目が覚める。
目が覚めるたびにトイレに駆け込む。
そのまま目が冴えて朝まで眠れないこともよくある。
つくづく年は取りたくないものだなあと思う。

テレビのスイッチを入れると深夜映画をやっていた。
四年前に観た「チョコレートドーナツ」だ。
その後、三度も観たがそのたびに号泣してしまう。
1970年代、アメリカのブルックリンで実際にあった話で
ダウン症で母親に育児放棄された少年マルコと
ゲイのカップルが家族として同居するというストーリーである。
是枝裕和監督の「万引き家族」も疑似家族の話だが
社会の様々な偏見と迫害にさらされて
世の中の片隅に追いやられていくのが疑似家族の運命。
しかし、このゲイカップルは
純粋無垢なマルコを心から愛し必死で戦おうとする。

今どきゲイの話など特に珍しくない。
本場アメリカではかなりの市民権を得ていると思っていたのに
実はそうでもない現実が次々と発覚する。
ホモセクシャルに対する偏見・差別は相当なもので
そんな社会のはみ出し者が
ダウン症の子供と暮らすというだけでも
激しい批判が噴出し裁判での戦いを余儀なくされてしまう。
愛する子供と「一緒に暮らしたい」という
ごく自然な願いも権利も認められないのがアメリカ社会だ。

主人公のルディはショーハブで働く歌手。
その圧倒的な存在感と抜群の歌唱力は凄いの一言だ!
彼は私生活でも本物のゲイだそうで「演技」も折り紙つきである。
恋人に甘えるシーンの女らしさ。
マルコに接するときの母性。
そして、信念を曲げず偏見に立ち向かう男らしさ。
実に表情豊かで思わず舌を巻いた。

それにしても人間はなぜ家族を求めるのだろうか。
そんなもの現代では
単なる「幻想」
にすぎないと思いつつも
この映画に涙してしまうメンタリティーは何だろうか。
おかげですっかり寝不足である。

 


席を譲られてしまいました。

2018年06月19日 | 日記

夕方の通勤時間帯の新宿駅。
地下鉄の車内はかなり混みあっていました。
私は人混みに押されるように通路の中ほどに移動すると
やれやれとホッと一息つきました。

何気なく前の席を見ると
ビシッとスーツできめた外国人が
なぜかにこやかな笑顔で微笑みかけて来ました。
イタリア系の若い外国人でしょうか。
笑顔の意味が分からず私がお追従笑いをしていると
彼はいきなり立ちあがり私に「ここに席に座れ」と招くのです。
混雑の車内ですからついつい座ってしまいました。
座った後で「あれれ」と思いました。
これって普通に席を譲られたということでしょうか。

かなりのショックでした。
お年寄りに席を譲ることはあっても
譲られたことは初めての体験で大いに戸惑いました。
その動揺にちょっと打ちのめされていると
彼は二駅ほど先で何食わぬ顔で降りていきました。
うーん、俺もついにそんな年齢に・・・
正直言って、私は足腰はもうガタガタの状態ですが
見かけだけはかなり若いと思っています。
たまに優先席が空いているときは座ったりはしますが
人に席を譲られたことは一度もありません。
ああ、それなのにそれなのに・・・
彼の好意には素直に感謝しつつも
どうしても素直になりきれない自分がいます。

ああ、とうとう俺もそんな年齢に見られるハメになったか。
理不尽です、納得できません。


サッカー音痴のワールドカップ

2018年06月18日 | 日記

ワールドカップが始まったらしい。
サッカーの話である。
スポーツ新聞だけの騒ぎかと思いきや
一般紙の紙面にも、連日、大見出しが踊っている。

世界を上げての大騒ぎらしい。
オジサンが子供だった頃は球技と言えば野球であって
サッカーなど全くのマイナースポーツだった。
空地があればとりあえず野球だったし
サッカーボールを蹴っている子供など見たことがない。
それが今は猫も杓子も婆さんまでサッカーで
まさに隔世の感がある。
すっかり時代から取り残されたサッカー音痴のオジサンは
C・ロナウドだってメッシだって知っているぞ!
と叫んでみても後が続かない。
まことに情けなく無聊をかこっているのである。

そこで思い立って試合を観戦してみた。
と言えば聞こえがいいが夜中に目覚めたら
つけっぱなしのテレビで中継が流れていただけなのだが。
スペインとポルトガルの試合だった。
なんでも双方とも優勝候補という好カードらしい。
C・ロナウドがポルトガル代表ということも初めて知った。
とにかくそのスピードと迫力に圧倒された。
素早い身のこなし、ボールを扱うテクニックの正確さ。
どれもが目を見張るものばかりだった。
ごくたまにスポーツニュースでJリーグの試合も見るが
まさに雲泥の差、天と地の開きがあった。
ビックマウスの本田圭佑は優勝を目指すなんて言っているが
優勝どころか全敗でグループリーグ敗退ではないか。

世界との差はあまりにも大きい。
その壁を乗り越えるのは永遠に無理なのではないか。
点が取れそうでいて取れない。
決定的なチャンスなのに最後に決めきれない。
そんな「糞づまり」のような情けない試合はもう見たくない。
ただ、それは決して選手の才能や努力不足ではなく
そもそも日本人にはサッカーというスポーツは向いていないのである。
民俗学的にも体型学的にも無理ではないのか?
サッカー王国なんて無駄なことはせずに
伝統と歴史があるのだから野球王国でいいのではないか。
胴長短足で知略に優れた日本民族は
野球で世界を制したらいいのではないかと思う。
身の丈に合った・・という言葉がある。
日本人の身の丈に合ったスポーツはやはり野球である。

サッカー音痴の勝手なたわごとである。
反論はあるかと思うが、忙しいので反論は受けつけない。
間もなく始まる日本vsコロンビア戦を見れば
すべてがわかると思う。

 


ちぎり絵展

2018年06月17日 | 日記

モスでモーニングコーヒー。
最近はすっかり出勤前の日課になってしまいました。
喫煙室の片隅で「ちぎり絵」が開催中。
と言っても色紙を並べただけの質素なものですが。

これは季節ものの紫陽花でしょうか。
奥には茄子もありますねえ。
一見、絵のように見えますがこれが貼り絵なんですねえ。
手でちぎった色とりどりの紙を
こうやって台紙に貼りつけて作品に仕上げています。
何枚もの紙片が重なり合って
独特の凹凸と言うか滲んだような味わいがあって素敵です。

赤かぶらのようなものは何でしょうか。
ははあ、これは西洋野菜のラディッシュかも知れません。
右には重厚感たっぷりの向日葵もあります。
まさに夏の花や野菜が大集合です。

貼ってある紙は和紙のようです。
紙のちぎれた部分に独特の質感があっていいですねえ。
コーヒーを飲みながらの朝のひととき。
ぼんやり作品を眺めているとあの大作を思い出しました。

ちぎり絵と言えばやっぱりコレですよねえ。
裸の大将こと「山下清」画伯が描いた長岡の大花火です。
日本橋三越の個展に出かけたのは何年前だったか。
最初はこれがちぎりえの作品とはとても思えず
感動のあまり思わず図録まで買い込んでしまいました。
これだけスケールの大きい
しかも夏を感じさせる「ちきり絵」はめったにありません。
さすが天才・山下清と大いに感心したものです。
こんな大作はとても無理ですが
オレもちぎり絵をやってみようかなあ・・・
なんて思ってしまいました。

 


万引き家族

2018年06月16日 | 日記

これは映画による「内部告発」ではないのか。
日本の恥部をここまで晒してしまっていいものなのか。
実際、そんな批判の声も一部にあったと聞くし
いろいろな意味で衝撃作だった。

話題の「万引き家族」を観て来た。
カンヌ映画祭の最高賞「パルムドール」に輝いた
是枝裕和監督の渾身の一作である。
平日の午前中の上映だったがほぼ満員の盛況だった。
生来のひねくれ者だから話題作などと聞くと
難癖の一つもつけてやろうと勢い込んで出かけたのだが
こりゃ凄い映画だなと感心してしまった。
現代日本のあらゆる不条理と偽善をすべてぶち込みながらも
家族の強いきずなを感じさせる不思議な映画だった。

一家の生活はそれぞれが持ち寄る稼ぎで成り立っている。
父親の治〈リリー・フランキー〉は日雇い仕事。
祖母の初枝〈樹木希林〉の年金。
母親の信代〈安藤サクラ〉はクリーニング店で働く。
信代の妹・亜紀は風俗嬢。
まだ幼い祥太〈城桧吏〉は学校には通わず父親の治と組んで
食材や日用品を万引きするのが仕事だ。
一家が暮らすのはビルの谷間の掃きだめのような一軒家。
とにかく汚い、狭い、モノが溢れている。
子供の髪はボサボサ、服はヨレヨレ、衛生的にもよろしくない。
しかし、一家はそんな中で仲良く暮らしている。

ある日、治と祥太は虐待されているらしい
少女ゆり〈佐々木みゆ〉を連れ帰る。
ゆりは帰宅を望まず、家族の一員に加わることになる。
母親となった信代〈安藤サクラ〉の演技が凄い。
決して美人とは呼べないご面相だが
あふれる母性を感じさせたかと思うと治と剥き出しのセックス。
意地悪な同僚にさらりと「殺す」と言ってのけたり
激しさやだらしなさが一緒になった演技には
思わず画面にクギ付けだった。
俳優・奥田英二とエッセイスト安藤和津の娘だそうだが
なかなか凄い女優さんが出て来たものだ。

樹木希林の入れ歯なしの婆さん役もよかった。
是枝映画の常連リリー・フランキーの
ダメ親父ぶりも相変わらず達者でついつい笑ってしまう。
疑似家族を通して家族の本質に迫る。
そういうパターンの映画は過去に何作もあったが
この映画にはパターンを突き抜けたリアリティがあると思う。
それぞれに暗い過去と秘密を抱えながら
世間に背を向けざるを得ない家族の感情の揺れを丁寧に描いている。
蛇足にはなるが撮影監督の腕も冴えわたっていた。
演出と映像と役者の演技が一つになった
パルムドームも頷ける映画だった。



家族が海水浴に出かけるシーンが印象だった。
この後、数々の犯罪行為が発覚し家族は一気に崩壊に向かうのだが
夏の一日、心から楽しそうに海と戯れる一家の姿は
ほのぼのとしていいシーンだった。
ああ、これは本当の家族の映画なんだなあと涙が込み上げた。
ぜひご覧になって頂きたい映画である。