まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

ふたたびの『海街diary 』

2018年06月10日 | 日記

いつものように酔っぱらって
ベッドの上でウトウトと居眠りしていたら
つけっぱなしのテレビで「海街diary」をやっていた。
慌てて目をこすって起き上がった。

映画館で観たのが確か3年前だったか・・・
ご存じ是枝裕和監督の傑作で
当時は広瀬すずの人気もあって大評判となった作品だ。

古都・鎌倉の古い一軒家で暮らす四姉妹。
看護婦で責任感の強い長女・幸を演ずるのが綾瀬はるか。
酒好きで年下の男に弱い信用金庫勤めの次女・佳乃が長澤まさみ。
地元のスポーツ店で働く万事にマイペースの三女が夏帆。
そこに失踪中に亡くなった父親の忘れ形見である
すず役の広瀬すずが新たに加わって姉妹の暮らしが始まる

鎌倉の四季の美しさを巧みに織り込みながら
是枝監督は姉妹一人一人の感情の流れを丁寧に掬い取り
家族の絆とは何かを静かに語りかける。
これといった劇的な展開などはなく
淡々と日常を積み重ねていく手法は「小津映画」の系譜に似て
上質な私小説を読むような深い味わいを感じる。

劇場で観た映画をテレビで観直すのは
愚の骨頂なのだろうが新しい発見もあってそれなりに楽しかった。
当時はまだ初々しかった広瀬すずが
今やすっかりトップ女優に成長したのも感慨深かったし
長女役の綾瀬はるかの抑揚のある表現力にも
この女優さんの底知れぬ才能を感じた。
庭で採れる梅の実を梅干しや梅酒にするのが一家の恒例行事で
台所には年代物の梅酒が貯蔵してあったりすると
暮らしに根づいて生きているこの姉妹の歴史が透けて見えたりして
まさに「diary」〈日誌〉の味わいを感じるのである。

話は逸れるのだが・・・
カンヌで「パルムドール」を受賞した是枝監督に
林文科大臣が政府を代表して祝意を表したいと申し出たのに対し
是枝監督は「公権力とは潔く距離を保ちたい」と
丁重に辞退したと言う。
映画人として、まさにその心意気やよし!である。