まろの陽だまりブログ

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つげ忠男を知っていますか?

2017年09月22日 | 日記

川本三郎さんのエッセイをつらつら読んでいたら
気になる漫画家の名前が出て来た。
その名は「つげ忠男」という。
え、ひょっとしたらと思ったらやはりそうだった。



つげ忠男さんはつげ義春さんの弟さんだと言う。
うーん、知らなかった・・・
つげ義春だってよくは知らないのだが
彼に弟がいて同じ漫画家だとは全くの初耳だった。
仕事帰りに池袋のジュンク堂でさっそく購入して読んでみると
これがなかなかよくてクセになりそうである。




決して絵が上手いという訳ではない。
でも、兄の幻想的な画風と違ってしっかりとしたリアリズムで
登場人物に不思議な存在感が漂っている。
描く漫画の世界観もお兄さんととはかなり違っているが
どこかシュールなストーリーはよく似ている。
少年のころから兄とともに極貧生活の中で育ったと聞くだけに
おそらく共通の人間観があるのかも知れない。
先に売り出した兄の作画作業を手伝ったこともあるそうで
黒い線描を重ねる「ベタ塗り」の工程は
忠男さんの担当だったと言うから少なからず影響は受けたのだろう。



私生活では釣りが趣味だそうで
作品には利根川べりの川の風景がよく登場する。
川本三郎さんも言っているように
この雄大な川の風景に独特の抒情と哀感があって素晴らしい。
幼い頃から慣れ親しんだ風景だと言う。
夢の世界に遊ぶ兄とは違ってしっかりと現実に足を下ろしながら
人生の「原風景」を追い求めているのがいい。
さらに言えば登場人物たちが等しく「暗い」のがまたいい。(笑)



伝説の漫画雑誌「ガロ」で活躍した忠男さん。
知る人は知っている。
知らない人は全く知らない存在だろうが
各界にコアなファンは多く
新作を待ちわびているというが寡作の人だけにどうだろうか。
もっともっと作品を読んでみたい。
そう思わせる漫画家である。