まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

芸術は爆発だ!

2017年09月16日 | 日記

久しぶりに岡本太郎を見た。
亡くなってもう20年だそうである。
日本のピカソと呼ばれたかどうかは知らないが
その奇抜な作風と独特のキャラで多くの人に愛されて来た。



日本を代表するアバァンギャルドである。
古い体質の文化や芸術表現をことごとく破壊し
つねに時代の最先端を目ざし続けた「前衛芸術家」だった。
今となってはその「激しさ」が懐かしい。



東京・南青山の岡本太郎記念館。
ここに来るのは確か二度目だったか三度目だったか。
すべてが緩くて曖昧な時代だから
思い立ったように【前衛】に触れてみたくなる。



岡本太郎の世界は健在であった。
館内に入っただけでワクワクするような感覚がある。
おどろいたことに館内は写真撮影自由だった。
生前に全作品を川崎市に寄贈したほどの気前の良さだから
なるほどと納得してしまう。
そんなことをチマチマ言うような人ではなかった。



40年以上にわたって格闘し続けたアトリエ。
私はこの部屋の前に立つと決まって「勇気」が湧いてくる。
芸術家の魂のようなものを感じてしまう。
代表作の「太陽の塔」を制作したのもこのアトリエだった。
1970年の大阪万博で作品依頼を受けた岡本は
あの口調で「とにかくべらぼうなものを作ってやる」と張りきっていて
出来上がったのが万博公園のあの「太陽の塔」だった。
当時、私は名古屋のハナタレ中学生だったが
万博見物であの70メートルを超す巨大奇怪な塔を見た時は
思わず「なんじゃコレは!」と叫んでしまった。
見たこともないようなフォルムと天に突き抜けるような塔の迫力に
衝撃と言ってもいいほどの感動を受けた。



で、今回は写真展である。
日本文化の本質を探す旅に出た岡本太郎が
60年前の東北で出会った「原始に本」の姿を活写している。
私は写真家・岡本太郎は知らないが
これがなかなかよかった。



貧しく閉ざされた冬の東北。
そこには見えないものと対峙する「呪術」の世界があった。
なまはげやイタコたちの表情を追いながら
岡本はそこに息づく東北の人たちの魂に迫ろうとしている。



前衛芸術家だけに
カメラワークも意表を突くような構図だ。
何より東北の息づかいがストレートに伝わってくる写真ばかりだ。
うーん、芸術家は何をやらせて芸術家だなあと
悔しいけれどちょっと感心してしまった。



芸術は爆発だ!
岡本太郎の残した名言である。
テレビはその言葉をある種のギャグにしてしまったけれど
実に深くて本質を突いた言葉だと思う。