平成28年12月15日(木)
静岡県議会12月定例会総務委員会の審議について報告します。
今日の所管部署は、危機管理部と出納局、人事委員会事務局、監査委員会事務局でした。昨日の経営管理部に続き、常任員委員会としての審議はこれですべて終わり、本会議最終日で常任委員会審議結果を委員長報告し、採決となります。
さて、本題に入る前に、嬉しいニュースが飛び込んできたので紹介します。今朝の朝刊に、私が数年前から取り組んできた新素材セルロースナノファイバー(略称CNF:詳細は、これまでも何回かこのブログで取り上げさせていただきました。)の実証生産設備が、富士市内に来年6月稼働を目指すことが明らかになりました。もともと市内にある大手製紙会社の研究施設を活用するとのことです。
私の地元富士市は、製紙業が基幹産業でありますが、厳しい社会情勢の中、製紙業が「斜陽化」の代名詞になるほど危機感を持っています。
CNFは、国の成長戦略の中に置かれている新産業分野ですが、富士市内の企業に工業用水を供給している静岡県企業局が、製紙業活動のバロメーターである市内企業の工業用水の供給量が減少し、厳しい経済状況を目の当たりにしている中、製紙業の新たな産業化につながるものとして、CNFの産業化に一石を投じたもので、私も立ち上げの当初から、議員の立場でずっと関わっているものです。
県は「ふじのくにCNFフォーラム」を立ち上げ、このプロジェクトが国内でもトップクラスの地域になることを、本県の重要施策の一つとして掲げています。
しかし、本県は先発として走り始めたものの、その後、全国で関心を集め、各地の特性を生かして激しい競争が始まりました。
私は、素材開発企業や応用製品に関わる企業の話を聞いたり、また、最先端情報を収集し本県の取り組み状況を検証しながら、県議会定例会の度に質してきたものです。この夏頃は、県外先進地を回り本県以外がリードし始めたことに危機感を持ち、所管する部署の担当者とも現地視察に出かけたり、意見交換を重ねてきました。
大きな課題の一つに、県内にCNFの本格的な製造施設がなく、大きなハンディとなっていましたが、今回の朗報は大変ありがたいものでした。
地元富士市も、県からの呼びかけに応え、担当者を国の機関に派遣し、素材購入費補助を行うなど、産官学で取り組む体制が整いつつあります。
「危機感を持って挑む」ことが、このような動きにつながっていることは言うまでもありません。是非、花を咲かして欲しいものです。これからも様々な角度から、支援してまいります。
前置きが長くなりましたが、総務委員会での審議内容を報告します。
危機管理部関係の審議内容は、職員の給与改定と、新規に導入する「静岡県防災情報システム強化事業費」についてです。
防災情報システムの強化では、災害の際に各地の状況を高精度で伝える、「高所カメラの高感度化」と、「国・他県応援要員等への通信環境・機材の配備」の予算が計上されました。
そのほか、所管事務調査としては、平成26年2月に「防災に関する相互応援協定」を締結した台湾地方政府5市1県の消防局を中心とした協力関係の維持拡大について報告を受け、取り組み状況を質しました。
定例会の度に報告される、最近の東海地域とその周辺の地震・地殻変動および火山活動について、「いずれも異常を示すものは認められない。」との報告を受けました。これに対し、委員からは、地震予知の今後について質問がありました。
次に、静岡市にある県の「地震防災センター」について、大きな災害が各地で発生しており、また最新の知見に基づく防災情報を県民に伝える機能の充実を図るためのリニューアルについて説明を受けました。私は、本県が東西150kmあり、県内の中央にある立派な施設であっても、ここに来館できて情報を得ることはなかなか難しいので、県内各地に出向き、ここに来れない多くの県民に施設の機能を共有していただけるよう工夫を凝らしていただくよう要望しました。
静岡県が所有する公共建築物の耐震化状況では、99.5%が対策を完了している報告がありました。
12月4日に開催された、静岡県地域防災訓練の実施結果では、自主防災組織が中心となり、自助・共助の基本訓練が行われたことが報告されましたが、自宅の耐震化や家具の倒壊防止、食糧や飲料水の備蓄が徹底されていないなど基本的な自助対策が不十分ではないかという指摘があり、啓発活動など県の一層の対策が求められます。
火災予防対策では、住宅用火災報知器の設置状況について報告があり、私は、「設置率も大切であるが、設置が義務化されてから10年も経過し、電池切れなどで正常に機能しない機器もあるのでは。機器があることだけで安心する方が問題であり、機能するかを調査する必要がある。」と問いかけました。これに対し、来年度より機能しているかどうか調査することを「義務化」するとの答弁がありました。
そのほか、浜岡原子力発電所の状況についても報告がありました。
危機管理以外では、会計事務および物品事務指導検査や歳計現金および基金の運用状況(出納局)、平成28年度「職員の給与等に関する報告および勧告」の概要と平成28年度静岡県職員・警察官採用試験の実施状況(人事委員会事務局)、平成28年度監査実施状況(監査委員事務局)などの報告がありました。
危機管理について、「防災先進県」であるにも係わらず、県民意識調査や後期アクションプランの進捗状況などではいくつかの課題も多く、早急な対策を講じていかねばなりません。