鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

静岡がんセンターに新たな放射線治療棟完成

2015年09月16日 | 議会活動

平成27年9月16日

 国内でも屈指のがん治療施設である静岡県立静岡がんセンター(特定機能病院)に、新たな放射線治療棟が完成し、記念式典が開催されました。 http://www.scchr.jp/

 放射線治療は、手術による「外科療法」、抗がん剤による「化学療法」と並ぶがん治療の三本柱の一つで、放射線の持つ細胞分裂を止める作用により腫瘍を縮小させるものです。放射線治療は、身体の外から放射線を照射する外照射、放射線を放出する小さな線源を病巣付近に入れて身体の中から照射する小線源治療があります。手術すれば傷跡が残り、身体の形や機能が損なわれる場合もありますが、放射線治療は切らずに治療することが可能です。また身体への負担が小さいので、高齢の患者さんや合併症のリスクが高い方など、手術を受けられない方でも治療が可能です。

 外照射では、一般にリニアックと呼ばれる装置で高エネルギーのX線や電子線が用いられています。また、特殊な装置で陽子を高速に加速して照射する「陽子線治療」も外照射の一つです。静岡がんセンターには、リニアックによる外照射、小線源による小線源治療に加えて、陽子線治療も実施できる国内でも数少ない放射線治療施設です。(以上、静岡がんセンター放射線治療として配布された資料から引用)

 式典の中でがんセンターの山口総長は、「放射線治療はまだまだ市民に誤解されている。がん治療では、まず外科手術で次に放射線治療と思われがちである。しかし、前立腺がんや乳がんでは放射線治療が主流となっている。体力のない高齢者の治療では、放射線治療に大きな期待がかかる。」と紹介していました。

(あいさつする山口総長)


(式典後、テープカットで施設が開所された)


 さらに、これから取り組む放射線治療では、手術においては医師と放射線科の医師という従来のスタッフの他に、医学物理士や放射線を専門とする看護師などが参加し、高度な治療を可能としている。

 静岡がんセンターは、全国の約9,000の医療施設、中でも国が指定する400の施設の中で、放射線治療ではトップ3に入る実績を誇っている。11月には、これまでリニアックや小線治療を担当する「放射線治療科」と、陽子線治療を担当する「陽子線治療科」を設置して運営してきたが、今回、放射線治療新棟の完成により、「放射線・陽子線治療センター(仮称)」を設置する計画について触れました。これにより、がん治療の手段が更に広がり、患者個人にあった「個人治療」を目指すとの説明がありました。

 式典が終わり、新しい施設見学をさせていただきました。最初は、新たに導入されたリニアックで、静岡がんセンターでは既に3施設を持っていますが、4施設目として最新鋭の技術が反映された装置が導入されました。この装置では、多様な腫瘍深度に対応できる。疼痛のある患者も短時間で照射が可能。位置照合により日々の誤差を迅速に微調整できる。脳定位照射がより簡便に正確にできる。6軸の微調整が可能な特殊寝台。多様な腫瘍形状に応じた照射野を実現。肺がんなど呼吸で動く腫瘍にも対応でき、これらの高機能を支えるために、2方向からのX線撮影による位置誤差の把握と迅速な調整が可能な装置も設置されました。さらに、この治療室の特徴は、患者の精神的ストレスを軽減させるために、天井は青空や緑の樹木が描かれた、デザイン天井も設置されています。

(リニアック治療室ののデザイン天井。患者のストレス軽減を期待)


(最新のリニアック治療では、脳や肺も高精度で放射線を当てることができる)


 続いて陽子線治療設備は、巨大な陽子加速装置が治療室の壁の奥にあって、そこで得られた光速に近い陽子を患部に当て治療するがん先端治療装置を見学しました。治療費は健康保険が利かないため、治療費は220万円から、280万円と高額です。しかし、最近のがん保険では1,000万円までの治療費がでるものもあり、それらを利用して治療される患者も増えているとのことでした。

(施設全体の模型)


(陽子線治療施設の説明)


(陽子線治療の寝台)


(陽子線を角度を変えて患者に照射する装置の全景)


(陽子線を照射する装置)


 陽子線治療は、今後期待されるのは、小児がんへの治療だそうです。この治療の特色は先の述べたとおりで、患者への負担や手術痕などが極力少ないことです。海外では、かなり使われているようですが、国内ではこれからの普及に期待がかかります。がん保険は大人のみで子どもへの適用が無いために、今後支援策を充実させることが重要といえます。

 最先端の治療施設を見学してきました。できれば、がんにかからないことが理想です。しかし、死因の30%ががんとなれば、早期発見早期治療が一番大切です。そして、がんになっても新たな治療方法に期待したいと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 敬老会に出席 | トップ | 元自民党幹事長 古賀誠氏を... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

議会活動」カテゴリの最新記事