平成24年1月31日(火)
静岡県議会「自民党防衛議員連盟」の北海道自衛隊関連視察二日目は、「札幌雪まつり」を支援する陸上自衛隊慰問と千歳市および市内に点在する自衛隊基地訪問の様子をお伝えします。
<札幌雪まつり雪像築造支援における自衛隊>
札幌雪まつりは北海道の冬の風物詩であり、2月に一週間ほど開催されます。今回は、雪まつりを控えこの雪像のいくつかを手がける自衛隊の活躍を視察しました。陸上自衛隊真駒内駐屯地の自衛官達が、三つの雪像(雪の水族館、タージマハル、会津鶴ヶ城)を約1ヶ月かけて築造するもので、完成するまでは朝八時から夕方五時まで、完成後は昼間太陽などで溶けてしまった部分を夜中に修復するなど、マイナス10度の世界で裏方として、また雪上訓練の一環として取り組んでいる自衛隊員の大変さを目の当たりにしました。彼ら抜きで雪まつりの実現はあり得ません。ここ北海道の自衛隊の特色を活かした活動といえます。
<航空自衛隊 千歳基地と司令官訪問>
かつての冷戦時代、北海道の自衛隊は日本を守る要の基地でした。今もその役割はほとんど変わりません。近年、中国や北朝鮮の行動は日本の国防において脅威となっており、マスコミも南西方面を取り上げることが多いので国民の目線もそちらに向いてしまうようです。「スクランブル発進」をご存じでしょうか。日本の周辺国の軍用機などが日本の国境に近づく場合、早期に警告するために、航空自衛隊の基地から迎撃機を出動させるもので、ソ連が崩壊するまで頻繁に続きました。その後ロシアになってからはしばらく静かでしたが、最近のロシアはかつてのソ連時代のように「頻繁に」行動するようになったそうです。事実、私たちが訪問する前、朝8時半頃、スクランブル発進がありました。さらに、北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を飛び越え、太平洋に着弾した事件など、それらの対応は北海道の自衛隊が大きな役割を果たしています。日本で一番緊張のある基地の一つではないかと思います。その基地の司令官達のお話から周辺有事とは何かを考えさせられました。
<基地が多くあるまち千歳市>
千歳市には多くの自衛隊基地があります。代表的なのは航空自衛隊の千歳基地ですが、そのほか陸上自衛隊の基地が、第七師団、東千歳駐屯地、北千歳駐屯地などがあり、私たちのために5名の「陸将」または「陸将補」「空将補」が集まってくれました。この肩書きの自衛隊幹部が一つのまちに集中しているところは、東京を除きほかにはないそうで、国防の要と言われる所以かもしれません。そして、これだけの自衛隊施設に関わる市民が数多く住み、市政運営に自衛隊基地の存在が大きく影響している地元行政のトップとして、山口幸太郎千歳市長や多くの千歳市議会議員、地元県会議員が参加し、基地のまちの現状と課題についてお話を伺いました。興味深かったのは人口の推移で、自衛隊の体制維持の結果により大きく変化していることです。また、自衛隊関係者の市政における声は大きく、「地元と自衛隊の共存」で成り立っているまちであることがわかります。今、防衛に対する国の考えは、例えば自衛官の削減など、周辺国との緊張が高まりつつある現状に反し、縮小の方向に向かっています。自衛隊関係者や基地のあるまちの市民から聞こえてくることは、「周辺国の脅威への不安」と「まちの衰退」です。静岡県内でも多くの基地があり、御殿場市や小山町でも同じような課題が生じているのではないかと思います。
(写真上は、山口幸太郎千歳市長)
国を愛し大切な人を守るために自らの命を省みない自衛隊の皆さんの目には、光り輝くものがありました。基地とともに生きていこうとする市民の、「国民のために自らの地域が自衛隊と共存していくことをこれからも望む」ことが単なる地域エゴではなく、「国のため」と信じてやまない姿勢に、基地がない地域に住み平和が当たり前と考えてきた市民の一人として、理解を深める必要があると感じました。
このほか、自衛隊のOBを行政の危機管理担当として雇用している報告や、千歳市防災学習交流センターなどを視察させていただきました。
写真上は、千歳市の元自衛官OBで市の危機管理担当者
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