鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

明治維新胎動の地(山口県)と神宿る島(福岡県)

2018年04月18日 | 議会活動

 

平成30年4月18日(水)

 

 タイトルを見ていただいたとおり、私達日本人にとって大変意味のある世界遺産群を視察することができました。

 

 本県伊豆の国市にある韮山反射炉と同じように、我が国の開国と国を守ることに大きな課題を突きつけられた歴史を担う萩反射炉を視察しました。海防強化の一環として西洋式の鉄製大砲鋳造を目指した薩摩藩が試作的に築いたのが萩反射炉です。現在は、高さ10.5mの煙突部分しか残っておらず、韮山反射炉と比較しながらその歴史を振り返ってみました。

 基本の技術は佐賀藩が取得していたものですが、韮山の反射炉は幕府の天領内に有り、萩はそれとは異なる立場から、技術的な支援が受けることが叶わず本格的な反射炉を構築することができなかったという説を聞きました。工業技術を国の柱に掲げる長州藩も、時の政治的な判断により、目的が達成できなかった背景があります。

 世界遺産である「日本の産業革命遺産」は、全国各地に散らばる構成資産に関連づけることにも意味があることを理解しました。萩反射炉を視察して、本県の韮山反射炉は国内唯一の完成した施設である理由が理解できます。

(萩反射炉)

 

 松下村塾は、吉田松陰が安政4年から5年に主催した私塾で、松陰は身分や階級にとらわれず塾生として受け入れ、久坂玄端や高杉晋作、伊藤博文、山形有明などの明治維新の原動力となり、明治新政府で活躍した多くの逸材を育てました。現在は、松陰神社の中に松下村塾や吉田松陰の生家が移築され、世界遺産の構成資産となっています。

 松下村塾は、人によって国がつくられるという「明治日本の産業革命遺産」の中でもその牽引役となった多くのキーマンを輩出した重要な役割を果たした施設です。韮山の反射炉でも単体でとらえるのでなく、キーマンとの関連も伝えていくべきと考えます。

(佐藤栄作による「明治維新胎動の地」石碑。松陰神社にて)


(松下村塾。この小さな建物が明治維新の推進役となる人達を育てた)


(松下村塾を巣立った著名人達)


 

 国内の世界遺産では一番若い登録となる、「『神宿る島』宗像沖ノ島と関連遺産群」は、富士山と同じように世界文化遺産として「信仰」が共通のテーマとなる世界遺産です。

 構成遺産には、宗像大社を起点に、九州北部の玄界灘を朝鮮半島まで並ぶ、辺津宮、中津宮、沖津宮遙拝所、沖津宮があります。宗像大社は、天照大神の三柱の御子神である、田心姫神、湍津姫神、市杵島姫神をお祭りしていて、安全の神様といわれています。北九州から朝鮮半島までの玄界灘は、素晴らしい漁場であり、朝鮮半島との交流のルートであったことから、海の安全祈願は最優先の課題でした。

 辺津宮は、本土である宗像市にある宗像大社の三つの宮の一つ。中津宮と沖津宮遙拝所は、宗像市から船で30分ほどいったところにある「神を守る島」といわれる大島にあり、中津宮は宗像大社の一つで、沖津宮遙拝所は49km離れた沖津宮がある沖ノ島を遙拝する拝殿の役割を果たす施設。そして「神が宿る島」である沖ノ島には沖津宮があるという構成で、沖ノ島は一般の立ち入りは一切禁止されている島となっています。

 沖ノ島からは8万点を超える歴史的価値のある遺跡遺構が見つかり、その全てが国宝といわれる、まさに「神宿る島」であり、世界遺産としての価値観は十分理解できるものがあります。

 視察では、沖ノ島以外を訪れることができ、福岡県の担当者および宗像市の職員から、世界遺産登録に至るまでの経緯や今後の課題などについてお聞きすることができました。

(大島へフェリーで渡る)


(間もなく大島)


(大島交流館にて)

 

(沖津宮遙拝所。この先49kmに沖ノ島があり、ここから沖ノ島を拝む)


(中津宮)


(この湧水も構成遺産。湧水は持ち帰りができる)

 

 富士山は世界文化遺産として登録され、「信仰の対象と芸術の源泉」といわしめることが原点であることを再度認識し、観光振興は大切ですが本来の価値観を損ねないようにと取り組む「宗像・沖ノ島と関連遺産群」の取り組みに刺激を受け、富士山の世界遺産の保全に向けた取り組みを再度見つめ直していきたいと思いました。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明治日本の産業革命遺産(山... | トップ | 宗像大社と新原・奴山古墳群 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マルテンサイト千年ものづくりイノベーション (サムライグローバル鉄の道)
2024-08-30 17:28:34
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
返信する

コメントを投稿

議会活動」カテゴリの最新記事